ーー先日、中国人漫画家・孫向文さんも本サイトで「中国から移住した私から見れば、現在の日本はそれほど過酷な格差社会ではない」「本当に過酷な格差社会である中国では、親が自分の子供に窃盗行為をさせるのは、日常茶飯事」と主張しています。

高須院長「そうそう、中国で”万引き家族”だったらいっぱいいる、大昔から。代々受け継いでる、エジプトの盗掘一家とか。それは文化だから。日本では家族単位では成立しません。

それに、日本はいま就職率がほぼ100%(※)だから、贅沢さえ望まなければ、普通に就職して給料もらった方が、万引きしながら暮らすより安定した生活できるからね(※2)。外国人を騙してる。これはファンタジーというか、いや”捏造”に近いです」

ーー監督自らホームページで「(左右ではなく)作品そのものを論じてほしい」と語りながら、海外のプレスに対しては、あたかも”現代日本が抱える社会問題”を作品に匂わせる発言を繰り返す。多くの人が違和感を持ち、バッシングが頻発したのは、是枝監督のそんな矛盾した姿勢が透けて見えたからかも知れない。では、是枝氏の言動には意図的な思惑があったと考えるべきでしょうか。

高須院長「(カンヌの)審査員が反体制に偏ってると媚びなきゃならない。だから賞を獲るものって暗いものが多いじゃない。ボクはもっと明るいコメディ作品が観たいけど、コメディ色が強いと賞を獲るのは厳しい。

最近では、社会問題を扱った作品なら『タクシー運転手 約束は海を越えて』(2017・韓国)が良かった。タクシーの運転手が多数の死傷者を出した光州事件(1980年)の現場に、ドイツ人記者を連れて行く実話を元にしてる。シャレた作りでとても面白かったですよ。

あっ、もっと面白いコメディがあった! 『のみとり侍』(鶴橋康夫監督)です。高須クリニックはコラボしたんだけど、折り悪く大きなニュースが重なり、さらに『万引き家族』を批判してたらそっちに話題が行っちゃった(笑)。 『万引き家族』より面白いよ。ぜひこちらを観てほしい!」

奇しくも、現在多くの映画館で是枝監督の『万引き家族』と、院長のコラボした『のみとり侍』が呉越同舟、並んでの上映中である。どちらが面白いかはさておき、すくなくとも”皺とり侍”、高須院長の丁髷姿CMの方が、『万引き家族』のプロモーション動画より笑えるのは確かである。

是枝監督も日本を貶めるのではなく、これくらいカラダを張ったプロモーションをすればバッシングも減ると思うのだが……。是枝監督は18年秋公開予定の総合監修オムニバス『十年 Ten Years Japan』でも、「自衛隊徴兵制」という架空の未来を描く『美しい国』(石川慶監督)を取り扱う。院長ならずとも、この先も目が離せないところである。

※ 大卒就職率=98.0%(18年春・文科省・厚労省調べ)
※2 作中の家族は万引き以外に生業あり

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