1990年には、マルタを訪れたローマ教皇ヨハネ・パウロ2世もここで祈りを捧げたといいます。

もうひとつ、ラバトの代名詞となっているのが、カタコンベ(地下墓地)。

ローマ時代、公衆衛生の観点から、死者を城壁内(現在のイムディーナ)に葬ることは禁止されていました。そこで、当時の町の郊外にあたる現在のラバトに大規模な地下墓地が建設されたのです。

ラバトには複数の地下墓地があり、なかでも最も大規模なものが聖パウロの地下墓地。

22万2000平米の広さに、1000もの墓所が連なるマルタでも最大規模の地下墓地で、4~6世紀の初期キリスト教徒が埋葬されています。

ラバトの町を歩くとき、一見なんの変哲もない通りを歩いているつもりでも、実は足元には広大な墓地が広がっているのです。そういわれると、ちょっと薄気味悪いような、歴史ロマンを掻き立てられるような・・・

入口こそあまり目立ちませんが、地下に入ってみると、薄暗い空間内に、延々と墓所が続いています。

中央にホールがあり、そこから延びるいくつもの路地が各墓所に通じているという構造や、会葬者が死者とのお別れの食事をとったとよばれる岩のテーブル「アガペー・テーブル」が並んでいることなど、聖パウロの地下墓地のスタイルはマルタ島独特のもの。まるで迷路のように張り巡らされた地下墓地の規模に圧倒されます。

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