首都ヴァレッタからバスでおよそ35分。マルタ島中央部、「静寂の町」の異名をもつのが、古都イムディーナです。
城壁に囲まれたイムディーナと、その周囲に広がるラバトは、もともとひとつの町でした。
その歴史は古く、青銅時代にはすでに砦が築かれ、紀元前800年には古代フェニキア人が砦の周辺に壁を建設。その後、ローマ人によって、町は一時現在の3倍もの大きさに拡張されました。
ところが、870年にアラブ人がマルタ島に侵攻。彼らは、町を城壁に囲まれたイムディーナと、その外側に広がるラバトに分割したのです。
現在、イムディーナは中世の面影を残す古都として、ラバトは聖パウロと地下墓地の町として知られています。
ラバトへは、首都のヴァレッタやスリーマから日帰り旅行が可能。イムディーナと合わせても、一日で十分観光できます。
聖パウロは、キリスト教をマルタにもたらした人物。敬虔なカトリック教徒が多いマルタにとって、きわめて重要な存在です。
西暦60年ごろ、聖パウロは政治的反逆者として審理を受けるため、ローマへと連れて行かれる途中に船が難破し、マルタ島に漂着。マルタでキリスト教を布教しました。
そんな聖パウロにちなんで建てられたのが、ラバトの中心に建つ聖パウロ教会。17世紀に建設されたバロック様式の堂々たる教会で、内部はマッティア・プレーティのフレスコ画で彩られています。
伝説によると、この教会は聖パウロが3ヵ月間隠れ住んでいた洞窟の上に建てられたとか。地下に下りると、聖パウロが住んでいたという洞窟が残っており、聖パウロの彫像が飾られています。
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