このところ、大手芸能事務所のタレントの不祥事やテレビ局、広告代理店の不祥事が連日報じられている。これはレガシーメディアの弱体化と衰退を象徴するものであるといえる。日本のレガシーメディアは、一種の護送船団ともいえる強固な構造をもっており、世界でも稀に見る閉鎖社会であった。しかし、今、これが壊れ始めているわけである。
日本のレガシーメディアは、新聞、ラジオ、テレビと地方系列局という同じ資本に連なる縦糸と大手広告代理店、大手芸能事務所、制作会社、記者クラブというメディアを横断する横糸により、非常に強固で独占的な環境を維持してきた。これこそが日本最大の既得権益であり、言論の自由や報道の自由の最大の障壁になってきたわけである。
国際的な基本原則として、「メディア集中排除原則」というものがある。これは一つの資本が複数のメディアを保有し、情報を支配することを否定するものであり、情報操作を難しくし、様々な意見を言える空間を守ることで、利用者や国民を守るためのものである。例えば、アメリカでは保守系のFOXとリベラルメディアであるCNNは全く異なる論調を撮っており、お互いにお互いのことを自由に批判しているわけである。それに対して、日本はこれを規制しておらず、メディアスクラムによる一種の独占体制にあるわけである。
そのため、日本ではメディア集中排除原則が守られていないことが報じられることもなく、国民の多くがこれに疑問を持たないままであったわけだ。しかし、インターネットの普及などにより、レガシーメディアによる情報独占が難しくなるとともに、新たなライバルの登場でビジネスモデルの崩壊が始まっているわけである。
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