■新聞界のタブー「残紙」も明るみに、セクハラ疑惑で記者クラブも特権剥奪?
新聞では、最大のタブーと言われてきた「残紙問題」(販売数の水増し)を知る人が増え、国会でも取り上げられ始めている。また、広告主の株主総会でも取り上げられ始め、企業も対応を迫られ始めている。新聞残紙問題は新聞社による一種の詐欺行為ともいえるものなのである。
例えば、企業から100万部分の広告代を得ていたとする。しかし、実際の実売数はそれより遥かに少ないわけである。この差が残紙と呼ばれるもので、不当利得と認定される可能性があるわけだ。この場合、過去10年遡り返還請求を受ける可能性があるのだ。その場合、潰れる新聞社も出てくるだろう。
そして、次にテレビとラジオである。キー局はまだ良いものの地方局の赤字が問題になり始めており、次世代の放送規格である4Kや8K向けの投資が進んでいない状況がある。費用面から対応できない地方局が出てくる可能性が高いのである。レガシーメディアの特徴は一方的情報提供であり、広告の効果が見えないことにある。それに対して、インターネット広告はクリックなどで広告効果が明確に反映され、成功報酬型の仕組みも存在する。このため、企業は費用対効果が計算しやすい。このため、スポンサー企業などがインターネット広告へシフトしており、将来性が見込めない状態になっている。
横糸となる広告代理店、大手芸能事務所にも大きな変化が起きている。広告代理店のガリバーである電通も、社員の死が原因となり、そのあり方が問われている。芸能事務所最大手ジャニーズ事務所も分裂と複数の所属タレントの不祥事により、メディアとの関係が急激に悪化しているのである。
また、記者クラブも、財務省職員のセクハラ疑惑問題により、その存続意義が問われる状況になりつつある。これまで、メディアと官僚は、記者クラブとその人間関係を利用し、一種の共依存の構造にあった。記者はクラブを利用し、官僚たちと関係を深め、リーク情報などをもとに記事を書いてきたわけである。しかし、今回のセクハラ問題により、その信頼関係が瓦解し始めており、その法的問題がクローズアップされてしまったのである。あまりに当たり前のように行われてきた個人的な記者との接触、これは職権乱用であり、情報を漏らせば守秘義務違反に該当する。これが当たり前に行われてきたことが問題なのである。当然、今回の事件で見直しが行われ、記者との不用意な接触はなくなってゆくだろう。そして、レガシーメディアは一種の特権であった情報独占能力を失うわけである。
現在、これが同時多発型で起きており、レガシーメディアの崩壊を促進する状況になっているわけだ。基本的にレガシーメディアの一番の力は「報じない自由」であり、問題のもみ消しや報じないことによる問題の鎮静にあったといえる。しかし、インターネットなど他のメディアが拡大したことにより、この力が減退し、「今までは」という経験則が通じなくなってしまったのだ。これが今のメディア不祥事の表面化の原因であり、レガシーメディア崩壊の序章とも言えるものなのだろう。
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