■「対策万全」という大会本部は気温測定すらしていなかった!

運営サイドの「健康への配慮」に疑問を感じたNEW’S VISION編集部では、大会本部に取材を敢行した。すると呆れるべき、商業主義にかまけた杜撰な管理体制が明らかになった。

編集部「まず、本日の球場内の温度を教えていただけますか」

大会本部「はあ? ”温度”…ですか? そういうのは計っていないんですが」

編集部「具体的にどのような対策を取られているんでしょうか。また本日、体調を悪くされた方は何人くらいいらっしゃったのですか」

本部「救護室を設けています。そこで体調が戻らなければ、近くの医院に搬送されます。今年は見た感じ、10名から20名ほどが搬送されましたかね(調べてもらったが具体的な数字は分からないとの回答だった)。例年と変わりませんよ」

編集部「観客は空席も目立ち始めているのですが、やはり長時間の観戦は厳しいのですか?」

本部「試合の経過に合わせて、お客様は入れ替わられますので。その都度、チケットは再販売しています」

驚いたことに、大会本部はグランド、各スタンド席の時間に応じた「温度測定」すら行っていなかった。これでは対策の取りようがないのではないか。また、ある程度の観客が熱中症で搬送されることを前提と考えている節さえ見受けられ、それでも日に何度もチケットの再販売を続けていることには、商業主義の側面を感じずにはいられなかった。

同球場ではその後も暑さに負けない、球児のひたむきな熱戦が繰り広げられた。だが、常に「熱中症厳重警戒」のテロップが表示される中で放送される様には違和感を覚えた。「教育の一環」という偽善の元に繰り広げられるのは、まぎれもない「高校野球ビジネス」である。球児たちが”真夏の虐待”から解放される日を願ってやまない。