この地に最初の拝火教寺院が建てられたのは2世紀のことですが、現在見られる建物は16世紀末から~17世紀初頭と18世紀に造られたものです。かつては、インド北部と現在のトルコやシリアを結ぶルートの中継地であったため、寺院としてのみならず、隊商宿としても機能してました。

分厚い壁に囲まれたアテシュギャーフ拝火教寺院は、寺院というよりもむしろ城砦のような雰囲気。現在は拝火教寺院としての機能はなく、往時の生活の様子や拝火教の儀式などを紹介する博物館となっています。

中央には、仏教の本尊にあたる「永遠の火」が祀られ、その周囲に礼拝を行った広場や石造りの僧房が配置されています。

各部屋では、人形や出土品、写真などによって、寺院の歴史やこの地で育まれた文化を紹介。

豪華な装飾などはなく、きわめて原始的で簡素な印象ですが、だからこそ数百年ものあいだ時が止まっているかのようで、燃え上がる炎の神秘性が際立ちます。

博物館といえど、ゾロアスター教の教えに必要不可欠な火が絶やされることはありません。ゾロアスター教では「善」の象徴とされる火。

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