位置関係を把握するためにも、まずナリカラ要塞から街歩きを始めるのもいいでしょう。
トビリシは、三方を山に囲まれたすり鉢状の町。町の中心を川が流れ、斜面に家々が肩を寄せ合うようにしてへばりつく、この町特有のノスタルジックな風景に心を奪われます。
ナリカラ要塞から徒歩で坂道を下っていくと、やがて温泉街のある一画にたどり着きます。
ジョージアに温泉とは、意外に思われるかもしれませんが、トビリシは知る人ぞ知る温泉の町。5世紀にトビリシを創設した王が、この地でキジが温泉に落ちて死ぬのを見たために、ここに町を築くよう命じたという伝説があるほどです。
「トビリシ」という町の名も、ジョージア語で「温かい」を意味する「トビリ」に由来しているとか。それを知れば、温泉街があるのも納得ですね。
温泉とはいっても日本の温泉とはずいぶん異なり、トビリシの温泉街にあるのは7~8世紀のアラブ統治期に造られたといわれるイスラム式のお風呂。硫黄温泉の公衆浴場で、美肌効果をはじめ、天然硫黄による治癒効果があるといわれています。
その周囲には、透かし彫りの装飾をあしらったペルシャ風のバルコニーをもつパステルカラーの家々が。
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