■皮膚病や視力低下なし!? 拷問地獄で「健康面に問題がない」はあり得ない

安田純平氏がマスメディアに自白した”拷問地獄”について、中国共産党の拷問のニュースを日常的に積極的に収集する私には、たくさんの“ダウト”が見えてきました。

彼は、「24時間、身動きも許されなかったり、8カ月間、水浴びもさせてもらえなかった」という。また。「足を延ばして寝ることができず、幅が1メートルしかない部屋で、指を曲げる音を立てることも許されなかった」と発言している。『ゴゴスマ』(TBS系)では「個室にほとんど照明がない」という情報もありました。

そうした苛酷な環境にあったはずなのに、外務省や警察当局は、安田氏の「健康面に問題がない」ことを確認しました。

そのような環境を聞き、私がすぐに思い浮かべたのは、中国共産党に監禁された民主活動家の故・李旺陽氏のことでした。

1950年生まれの李旺陽氏は、中国で一生、地道な民主活動を続けた人です。1983年、中国の民主化のために新聞紙を創刊したり、民主活動組織の運営を行いました。1989年、天安門事件に学生を支援するために「反革命分子」として逮捕され、それ以降は頻繁に監禁されます。

中共政府の常套の手口として、政治犯を「小黒屋」(狭くて真っ黒の部屋)と呼ばれる特殊な檻に入れます。さらに、部屋の中に国共産党の正当性と偉さを讃えるドキュメンタリーを繰り返し再生して、強制洗脳を行います。李氏は長期監禁の影響で、心臓病、甲状腺機能亢進症、左目が失明、両耳がほとんど聞こえない、筋力の著しい衰えなどが有りました。李旺陽氏の事情について、興味のある読者の方はぜひ検索してください。

2012年、私がまだ中国に住んでいる時に、VPNを通じて香港のネットニュースを観ました。まさに安田純平氏が自白した“拷問地獄”を再現したら、そっくりあのような感じになるでしょう。李旺陽氏は「檻」に囚われていました。面積は2~3平方メートル、安田氏の自白より若干広かったです。

それでも、足と腰が長時間に伸ばせないまま、監獄の中に真っ黒で照明が許さなかったのです。その結果、李旺陽氏は両目が長期間に渡り瞳孔が拡大したままの状態で、拡大収縮筋肉が劣化で、ほぼ失明の状態になっていました。檻の中で音がなく聴力にも影響があった、香港の医者が解説していました。

また、長期間に渡り足と腰が伸びなかったので、運動もできず、血流が悪くて体調が崩れて病院に搬送されましたが、「檻」から出る際に自力で歩けない状態となり、車椅子に座らせられました。肉体のダメージ以外では、狭い籠に閉じこめられた時に、人間は心理的恐怖感が精神面に大きなダメージになると言われていました。

もう一つ、10数年前に私の知り合いの中国のおじさんが、犯罪で刑務所に3ヶ月間過ごしましたが、監獄には長期間、日光が差し込まず、毎日シャワーを浴びても性器と足に皮膚の潰瘍がありました。それは紫外線による自然の殺菌が足りないことによるものでした。

そして現在、新疆ウィグル自治区のウィグル人収容所では、監獄が狭く、シャワーする時間が少ないという原因で皮膚病になり、蛆が出るくらいの拷問地獄が起きています。しかし、安田純平氏は「8カ月間、水浴びもさせてもらえなかった」という自白に、なぜ皮膚病を患わずにあのように顔色も良く肌も比較的に艶があったのか? どのような恵まれた環境の拷問地獄であったかと問い詰めたくなることだらけです。さらに、なぜ安田氏が自白した状況と上記の例はそっくりなのに、彼はピンピンして歩け、そして視力がはっきりしているのでしょうか。

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