また、仮想通貨のボラティリティが高いのは、あくまでも米ドルや日本円に換算したときの話です。このような国際決済通貨と仮想通貨とでは時価総額の規模が比較になりません。比較にならないものを比較して、仮想通貨のほうがボラティリティが高いと指摘するのは、あまり意義があることと思えませんし、法定通貨の中にもボラティリティが高いものもあります。たとえばベネズエラ・ボリバルやトルコリラなどです。

将来、仮想通貨の時価総額が法定通貨のそれに近くなれば、少数の機関投資家による価格操作が難しくなるため、今よりももっと安定性が保たれるものと思います。

■分散型社会を実現するため、現時点で技術的に足りない要素はありますか。

ブロックチェーンのプロトコル技術は、実用化に向けての課題がまだ多いです。

スケーラビリティと呼ばれる問題があります。要するに、現状のビットコインやイーサリアムですと、やりとりの効率が悪いのです。トランザクションの処理件数が、1秒間で5~15件程度とされていますが、クレジットカードのVISAのトランザクションは、最高で1秒間で約5~10万件の処理速度があるといわれています。桁違いじゃないですか。これぐらいのスピードがなければ、現実問題として決済の実用には耐えられないのです。

(つづく~「LONGHASH Japan代表 クリス・ダイ氏インタビューvol.5 分散型システムの応用性【フィスコ 株・企業報】」~)

【クリス・ダイProfile】
中国上海出身。LONGHASH Japan代表取締役社長。中国と日本のクロスボーダー投資ファンドLeland Capitalの共同創設者兼CEO。中国と日本での活動を中心に、幅広いビジネスマネジメントと投資を行い、COO/CIO Yixing SCM(ロジスティクス・プロバイダー)、Accentureのコンサルタント、複数のベンチャー企業の共同設立者。中国のビットコインとイーサリアムの早期の投資家の一人で、2013年から仮想通貨投資に携わる。経済産業研究所ブロックチェーン研究会委員。2004年にスタンフォード大学でマネジメントと科学と工業工学卒業。

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