LongHashの分析によれば、2016年第1四半期(1〜3月)と第2四半期(4〜6月)のホワイトペーパーは、平均ワード数が3000ワードを下回っていた。ところが同年第4四半期(10〜12月)になると、1万ワードを突破。それでも当時はまだ、比較的ワード数が少ないプロジェクトが存在した。ICOは2017年から爆発的に増えた。

平均的なホワイトペーパーの長さは、全体としてこのトレンドを反映している。2017年第1四半期は平均6000ワード以下だったが、着々と増えて、2018年第3四半期(7〜9月)には9000ワード近くになっている。

なぜ、ホワイトペーパーは長くなってきたのか。考えられる理由をいくつか示そう。

背景情報の増加

ビットコインは極めてオリジナルだったため、そのホワイトペーパーには大量の参考文献が含まれていない。だが業界が成熟するにつれて、ブロックチェーン技術や合意形成メカニズムの説明、業界全体の背景情報や問題点の説明といった記載が増えていった。

テクニカルな説明の増加

量と質は必ずしも一致するわけではない。なかには、一般的な読者を「おおっ」とうならせるために、テクニカルな内容を大量に詰め込んだホワイトペーパーもある。つまりその長文化は、ブランディングやマーケティングにおける「盛りすぎ」のトレンドを反映しているだけで、プロジェクトの質とはあまり関係がない可能性もある。

ライバルの増加

似たような仮想通貨が次々と登場するにしたがい、ライバルの長所と短所を詳述するホワイトペーパーが増えている。初期の仮想通貨はライバルが少ないか、明確な差別化要因を持っていたため、この部分が長くなることはなかった。だが今は、さまざまなニッチ分野で複数のブロックチェーン・プロジェクトが激しい競争を展開しており、自分たちのユニークなセールスポイントを明確にするためにも、より直接的な比較が必要とされている。

免責条項

各国政府がICOの規制に乗り出すなか、ホワイトペーパーに免責条項を含める必要性を感じるスタートアップが増えている。

おそらくこうした理由すべてが少しずつ重なって、ホワイトペーパーが長くなってきたのは間違いないだろう。では、現在の市場低迷は、ホワイトペーパーの内容に何らかの影響を与えるのか。その答えは、2019年に計画されているICOプロジェクトのホワイトペーパーを分析して、改めて考えていきたい。

(記事提供:LONGHASH)

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