いくらなんでもこれ以上下がらないだろう——。そう思っていた矢先に、またビットコインの価格がガクッと下がった。11月後半の2週間では40%近くの下落となった。

おかげでビットコインの取引はもちろん、マイニング(仮想通貨の新規発行や取引承認に必要となる計算作業)から収益を上げるのも不可能と判断するマイナーが出てきている。この見方が広がれば、ネットワークを動かすのに必要な計算力が大幅に減少して、ビットコイン価格はますます下げ圧力にさらされる恐れがある。

そこでLongHashは、ビットコイン・マイニングの収益効率を調べて、マイナーが置かれている状況を考えてみることにした。まず、現在最高とされるビットコインのマイニングマシン3機種(Bitmain Antminer S9i, Halong Mining DragonMint T1, Whatsminer M3 Bitcoin Miner)の基本情報を抑えておこう。

Bitmain Antminer S9i
ハッシュレート:14.0TH/s(テレハッシュ/秒) 消費電力:1320w(ワット)
価格:555ドル
Halong Mining DragonMint T1
ハッシュレート:16.0TH/s 消費電力:1205w
価格:799ドル
Whatsminer M3 Bitcoin Miner
ハッシュレート:12.5TH/s 消費電力:2050w
価格:423ドル

上に示した価格は、11月末の米国のアマゾンで販売されている価格だ。マイニング・マシンの価格はビットコインの価格変動を反映するから、既存のマイナーはもっとずっと高い価格で機器を買い揃えた可能性が高い。

次に私たちは、マイニング費用とマイニング報酬を割り出して、ビットコイン・マイニングの収益率を調べた。具体的には、マシンの初期費用と電気代を計算して、マイニンング報酬(特定の日のドル建て価格と、ネットワーク上の全計算力をベースに割り出した)を比較した。結果、ここ数カ月は収益率がマイナス圏にあることが判明した。ビットコインの価格は下がっても、電気代などの固定費がかかるため、マイナーは損失を出しているのだ。上記の3つのマシンすべてで同じパターンが見られる。

電気代はキロワット当たり定額0.05ドルとみなした。これは中国の大手マイニングプール「F2」の関係者が、キロワット当たり電気代は0.38〜0.4人民元と教えてくれたからだ。もちろん現実には、電気代はこのラインを上下するが、だいたいこのあたりだ。

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