これらの経済的および技術的な問題をクリアしても、法規制や実用面の問題が残る。巨大なマイニング用衛星を誰が建造するのか。それだけの仕組みを分散型システムで維持できるのか。所有権の概念がない宇宙空間で、競合相手のマイニング事業者に「太陽光を盗まれる」こともありうる。
これは机上の空論ではないが、あまり実際的な議論でもない。マイナー・ワンという企業は、すでに最初の1歩を踏み出している。同社は今春、「スペース・マイナー・ワン」と命名したマイニング装置に気象調査用のバルーンを取り付けて飛ばし、高度90キロ強の上空でビットコインをマイニングした。
厳密には「宇宙空間」ではなく、中間圏と呼ばれる地球の大気圏の一部だ。国際航空連盟の定義では、海抜高度100キロの「カーマン・ライン」を超えた先が宇宙空間となる。
少なくとも、高高度で太陽光発電によるマイニングが可能であることは証明された。現段階では、経済的にも技術的にも大規模な実用化は難しい。マイナーが直面している危機から、今すぐに救う解決策にもならない。
しかし長期的には、宇宙を拠点とするマイニングは、電気代の負担から完全に解放されて、仮想通貨の価格が下落してマイニングの難易度が上昇しても、地球上より利益を出しやすい1つの手法になる可能性は十分にある。
(記事提供:LONGHASH)