「仮想通貨というものは、何か裏付けるのある資産があるというわけではない。そうなれば、相場から出ていくマネーと入っていくマネーとがある中で、入ってくるマネーが多ければ価格が上がる。逆に出ていく方が多ければ下がっていくことになるだろう。現状は仮想通貨から出ていくマネーが多い状況なのだと思う」
「仮想通貨を取引を止めてしまった人もいるだろうし、それ以上にマイニング事業から撤退したり、ICOで調達した資金を現金化していく流れが増えているのだろう」
「仮想通貨マーケットから資金が流出していく一方で、新しいマネーが細っていくとなると、相場は下がらざるを得ない」
米国で議論されているETFが注目されているのは、仮想通貨相場に新しいマネーを呼び込むことになると期待されているからだと指摘する。
「ETFが注目されているのは、証券市場のマネーがニューマネーとして入ってくることが期待されているからだろう。そういうパイプができることで仮想通貨が浮上する可能性があるとみられている。ただ(米SECが)これまでの申請を拒否している状況だ」
「ETFができれば、マネーが流入する可能性はあるだろう。ただETFは話題はあるが、大型株と同じような資金の流れが生まれるかどうかはわからない。それでも機関投資家のマネーが一部でも入れば、価格へのインパクトがあるのは間違いない」
今後重要になるのは「仮想通貨が提供する価値」
田口氏は「仮想通貨の本質的な価値は、ユーザーの目から見ても、法律面から見ても再定義されるというのが、非常に速いスピード感で進むことになるのではないか」とみる。中長期的に仮想通貨が意義を持つには、ユーティリティと結びついた形となることが重要だと指摘する。
「仮想通貨の1つの欠点は社会的基盤となり得ていないことだ。なかなか仮想通貨自体の本質的な使われ方自体が議論されなかったり、適用事例がなかったりするのではないか。そうしている間に、IBMのハイパーレジャーといった独自のブロックチェーンを開発する動きも出てきている。また各ネットガリバーが分散台帳技術に相当な投資を進めている」
「仮想通貨自体に何か特徴のある役割や機能が備わるようなことが求められるだろう。社会的に大きな意義を持つなり、既にあるビジネス分野と競合しない価値を提供することができるのか。そこを見極めることが重要になっていくだろう」
田口氏は、「そういう仮想通貨があるのかどうかは、まだわからない」としつつ、画期的なユーティリティを提供することが価値の源泉になるとも指摘する。
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