「最終的に、いい規制は健全性をもたらすと思う」と、仮想通貨資産管理プラットフォームを開発するスイスボークの谷上健・日本代表は語る。とはいえ、金融庁がどこを目指しているのは、まだはっきりしない部分がある。時事通信は、金融庁が「通常国会に金融商品取引法、資金決済法の改正案の提出を目指す」としている。

金融庁の正式な発表がいつにはるかはわからない。政府の研究会は昨年4月、ICOガイドラインの大枠を示し、投資家の特定、マネーロンダリング(資金洗浄)の取り締まり、トークン保有者の保護、資金調達プロジェクトの進捗状況を追跡する措置などを定めている。

「新ルールは極めて厳格なものになり、新規参入者にとってハードルは高くなるだろう」と、谷上は語る。

これまでのICO手続きの変遷を見れば、今後の方向性を占う手がかりになるかもしれない。日本は現在、顧客確認手続き(KYC)やマネーロンダリングの取り締まり、複数アカウントの分離、プライベートキーの管理などで「厳格な措置」を義務づけていると谷上は言う。「新しいICO規則も似たようなものになると思う。つまり極めて難しい要件が設定されるだろう」

それはまさに日本が必要としているものなのかもしれない。ブロックチェーン・コンサルタントのキャサリーン・チュウ氏は、「2017年のICOによる資金調達の急増は、分散型台帳技術のパワーを見せつけた。だが、日本の政治家や一般市民がこの技術を理解し、受け入れるまでには一定の時間がかかるだろう。ICO規制が正しく行われれば、市場には後押しとなるし、市場に参加したいという人も増えるだろう」と発言している。

なかには、金融庁だけではベストプラクティスを示すことはできないという指摘もある。「この業界自体が信用を構築することになる」と、ワールドピースコインのICOコンサルタントであるナカザト・ノゾム氏は語る。日本のブロックチェーンの未来を決めるのは、政府ではなく仮想通貨業界だ、というわけだ。

(記事提供:LONGHASH)

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