ファスネットの主役は、「ナロ」と呼ばれる愚者たち。まるで能面のような木のお面と頭に付けたキツネのしっぽ、そして歩くごとに「ジャンジャン」と轟く体中の鈴が彼らの特徴です。

小さな子が見たら泣き出しそうな怖い姿のナロですが、「ホーホホホ」と言いながらぴょんぴょん跳ねている様子は、どこかコミカルでもあります。体中に付けている鈴は総重量が24キロほどになる事もあるのだそう。

ナロ達に同伴して歩いているのが、「アルトフィリンガリン」という女性たち。20世紀の男女平等運動のなかで登場したキャラクターであり、それ以前におけるファスネットは男性の行事として扱われていました。

このほかフィリンゲンのファスネットを象徴するのが、「猫」たちの行進。全身黒の衣装を身にまとったリーダーの雄猫「カーター」に導かれ、猫に扮した人々が町を練り歩きます。

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