東洋と西洋が混ざり合う世界唯一の街、イスタンブール。トルコ最大のこの街は、その首都がアンカラに遷るまで、帝都として栄えました。

イスタンブールの旧市街と新市街を結ぶガラタ橋から旧市街のほうへ視線を向けると、そこには「これぞイスタンブール!」と人々を唸らせんばかりの景観が広がります。

橋から見える、丘の上に堂々と建つスレイマニエ・モスクは、イスタンブールを象徴するイスラム寺院のひとつ。その名前の通り、オスマン帝国を最盛期に導いた壮麗王スレイマン大帝のために造られたモスクです。

あまりにも立派で壮大な建物なので、モスクの敷地内からはその全貌を写真に収めきれないほど。

トルコ史上最高と評される建築家、ミマール・スィナンによる設計で、モスク内部のオスマン芸術美溢れる空間も注目に値します。

スレイマン大帝といえば、日本でも放送され人気を博したトルコの宮廷歴史ドラマ『オスマン帝国外伝~愛と欲望のハレム~』でもおなじみの歴史上の人物。

このドラマを機に、トルコやオスマン帝国史に興味を持ち始めたかたもいるのではないでしょうか。

スレイマニエ・モスクの敷地内には、一世を風靡したスレイマン大帝と、その妻であるヒュッレムの霊廟があります。

何百年も前の激動の時代を生き抜き、ヨーロッパにその脅威を知らしめたオスマン帝国第10代皇帝スレイマン、そして奴隷の身分からハレムでのどろどろの戦いを勝ち抜き、ついには皇后陛下という身分にまで登りつめたヒュッレムは、イスタンブールの街全体をよく見渡すことができる丘の上で静かに眠っています。

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