米国の大手仮想通貨取引所コインベースは本日、英ロイズをはじめとする複数の保険企業から最大2億5500万ドル(約280億円)総額の補償を受けていることを公式ブログで発表 した。

コインベースのCISOであるPhilip Martin氏が本日公表したブログ投稿によると、同取引所は6年前の2013年末から取引所運営に伴うリスクの分散を目的に保険を確保していたことが明らかとなった。

当初コインベースは英国発の保険大手ロイズ傘下の登録企業Aonと連携しながら、徐々に保険補償を行う企業数を増やしていき、現在では英国や米国などから複数の保険企業から最大2億5500万ドルの補償を受けることが可能な体制までに至っている。

2013年当時から仮想通貨が新規産業であるが故に、保険企業の募集には苦難が伴い、保険システムには複数の企業がリスクを分散できる「タワー形式」が採用されたことで補償を増やすことが可能となった。

新しい業界、特に仮想通貨業界は様々な要因からリスクの高い業界としての認識が高いため、ポートフォリオの分散化を提供する制度で保険企業を募った形だ。

「タワー」の低レイヤーの企業が最初に補償額を提供していく形式で、一つの企業に補償額が集中しない仕組みが採用されている。

コインベース、2種類の保険
さらにコインベースは、コールドウォレットとホットウォレットを補償する2種類の保険に加入していることも今回明らかとなった。

コールドストレージで管理されている仮想通貨(暗号資産)を補償するのは「Specie」と呼ばれる種類の保険で、一般的には展示、または保管されている際の貴金属や美術品などが対象となっている。

また「Crime」と呼ばれるタイプの保険はホットウォレットのハッキング、内部窃盗、不正転送やコールドストレージで管理されている秘密鍵の物的損害と紛失も補償するもので、Specieよりも高額となっているそうだ。

コインベースにとって一番重要な保険は後者の「Crime」保険で、クアドリガCX、Zaif、コインチェックなどとハッキングの報道が絶えない仮想通貨取引所の一番の懸念点となっているハッキング等を補償する。

なお同保険は、ハッキング等が発生した際に生じる緊急対応の費用やPR費用、そして取引所ではなく仮想通貨そのものを対象とした「51%攻撃」など仮想通貨自体の不備は対象外となっている。

仮想通貨企業の保険補償の理想
仮想通貨業界に機関投資家が参入する課題として業界の信頼度向上がカギとなっている。

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