マイナーはブロック報酬とユーザーの支払う送金手数料からマイニングの報酬を得るのだが、送金手数料や価格などすべての条件が同じなら、マイニング報酬が少ないとセキュリティーも低下する。報酬が少なければマイナーはマイニングをやめてしまい、ネットワークのセキュリティーを確保しようと思わなくなるからだ。
セグウィットの採用をめぐるビットコインの混乱が示したように、マイナーは報酬を追い求める。ビットコインキャッシュは、ハッシュ関数SHA-256を採用する通過の中のハッシュパワーシェアという点で比較的セキュリティーは低いほうだが、来年の半減期はその状況を悪化させる恐れがある。
仮想通貨データサイトのfork.lolの予測によると、来年の半減期後のビットコインキャッシュのマイニング報酬は1970ドル。一方、ビットコインの半減期後のマイニング報酬は3万2939ドルになる見通しだ。しかし上述のように、ビットコインキャッシュとビットコインの半減期の間には1カ月以上のタイムラグがある。
ビットコインの半減期前のマイニング報酬は推定6万4471ドル。ということは、ビットコインキャッシュの半減期後の約1カ月半、そのマイニング報酬は、ビットコインのわずか3%程度になる。
もちろんこれらの予測は、ビットコインとビットコインキャッシュの現在の状態に基づくものだ。ビットコインの送金手数料が上昇すれば(過去にもあった)、ビットコインキャッシュの立場はもっと悪化するだろう。
一方、ビットコインキャッシュの価格が上昇すれば、半減期後のセキュリティー確保には助けになるだろう。ただ、ビットコインの場合は、過去の半減期周辺に価格が上昇したが、ビットコインキャッシュの値動きはビットコインとは異なる。
真の問題は、半減期のタイムラグのために、ビットコインキャッシュのマイニング報酬が約半分になったとき、ビットコインのマイニング報酬はすでに約1カ月以上にわたり(おそらく)安定した水準にあることだ。
このためビットコインキャッシュの半減期は、既存の問題を一段と悪化させる恐れがある。ビットコインキャッシュを攻撃したい人物にとって、来年は格好のチャンスになるかもしれない。
(記事提供:LongHash)
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