ビットコインは27日午前4時頃、5月中旬より形成していた大きめの保ち合いを上方ブレイクして急騰。勢いをキープしたまま、先日までレジスタンスとして機能していた年初来高値(91.5万円)を天辺としたアセンディングトライアングルも上抜けている。

直近の動きで何度か下に揺さぶるなどして、燃料(ショート)を溜めていた分、bitFlyerのメンテナンス時間帯に鬼門の89.5万円ラインを一気に超え、午前9時時点で、現物価格97万円、BTC FXで100万円台を記録。これに伴い、ライトコインやリップルなどの主要アルトコインも全面高となった。

高騰の一因には、新たに米トランプ政権による中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)に関する、事実上の輸出禁止規制などの制裁措置を懸念した影響で半導体銘柄を中心に売りが先行するなどしており、米中貿易摩擦の激化懸念が強まっている点も挙げられる。

米中のみならず、欧州経済では「英ブレグジット」関連で責任問題に発展したメイ英首相が辞任を表明し、ユーロや英ポンドで先行き不透明感が増すなど混迷を極めているほか、国際金融市場全体で地政学リスクが台頭、法定通貨では米ドルや中国元の流入も増加していることが確認されている。

このような状況を背景に、英ポンドの通貨不安で欧州のバイナンス・ジャージーで申し込み件数が殺到するなど、個人投資家のリスクヘッジの一環としての需要が高まっており、南米のハイパーインフレなどの影響もあり、世界全体で「避難通貨」としてビットコインが買われている可能性も考えられる。

また90万円台では、幾度となく大幅調整に向かうような急落場面も見受けられたが、一定程度下げた時の買いが強く、4時間足でも下値を切り上げながら揉み合う展開を見せていた。

2018年相場の大暴落と調整を経て、2019年4月以降に短期間の高騰に伴いトレンド転換したことにより、FOMOが発生。ベア相場→ブル相場の豹変に惑わされるようにしたショートスクイーズが上昇燃料となり、指値ラインまで落ちて来ないことで、しびれを切らした現物買いがさらなる買いを呼んでいるとの指摘もある。

昨年末の仮想通貨市場全体が大幅下落していた際はリスク資産扱いで株式市場のリスクオフに相関するなど見向きもされなかったが、底値圏からの中・長期トレンド転換で、全金融商品比較で年初来最大のパフォーマンスを叩き出しているとなれば話は変わる。特にマザーズなど新興市場を主戦場にしている投機家需要は強く、直近では、株式市場の下落と逆相関するような動きを見せている。

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