先月独自仮想通貨「リブラ(Libra)」についての構想を発表し、各界の話題を呼んだフェイスブック社が、米ニューヨーク州金融サービス局(DFS)の「BitLicense(ビットライセンス)」に申請していたことが、ロイター通信により現地時間6月28日明らかになった。
ビットライセンス(BitLicense)とは、米国ニューヨーク州内における仮想通貨取引交換業を可能にする事業ライセンス。2015年からニューヨーク州の金融サービス局(Department of Financial Services)が発行している。
フェイスブック社は、新規発行する仮想通貨リブラに加え、リブラの取引を主として行い、同社の子会社が運営する決済プラットフォーム「カリブラ(Calibra)」の構想も発表している。今回の申請はこのカリブラが行った。
これに加えフェイスブックの担当者は、このビットライセンスに加え、米国における資金移動ライセンスや金融犯罪取締執行ネットワーク(FinCEN)への申請も行った他、英国やスイスの金融規制当局ともやり取りを既に行っている旨を明かした。
この様な姿勢からは、フェイスブックが本格的に規制に対する壁に1つずつ立ち向かっていく方針が伺える一方で、フェイスブックに対する逆風は依然として強い。
ホワイトペーパーの公開以来、米国国内外からブロジェクトに対してのみならず、運営主体であるフェイスブック社に対する賛否両論が繰り広げられてきた。
米議会は先週、上院および下院の委員会にて同社を招いての公聴会を7月16日、17日にそれぞれ行うことを相次いで発表した。特に議会下院金融サービス委員会のMaxine Waters理事長はリブラの開発一時停止の要求を発表し抵抗する構えだ。
一方で、米国連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は「仮想通貨リブラは潜在的利点とリスク両方持つ」と懸念を示しつつも可能性に期待も寄せている。
米反トラスト擁護団体、公開市場機関のBarry Lynn理事は、「規制的側面において極めて危険性が高い。世界中で規制当局と論争を起こしている張本人である」と話し、強い難色を示している。
さらにベンチャーキャピタル・ファームAnthemis社の最高投資責任者を務めるSean Park氏は「(規制における)フリーバスは存在しない」と述べ、これからフェイスブックが向き合うべき試練に対して次の様に話す。
「グローバルに展開しようとしても、結局は何百という規制当局における何百やおそらく何千といった数のライセンスが文字通り必要になってくるだろう」
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