当時サッチャー首相率いる保守党政権が打ち出した住宅改革「1980年住宅法」により、公共住宅を賃りている住人にその住居を「買う権利(Right to Buy)」が与えられると、ここバービカン・エステートも市場価格よりもかなりの安値で住民たちに売却されました。

ロンドンの中心部にありながらテニスコート、サッカー場、池、専用庭、駐車場を備え、今では高級集合住宅となったこの住宅を当時購入することができた人々は、かなり幸運だったと言えるでしょう。

1982年には、エステートの敷地内に複合文化施設「バービカン・センター(Barbican Centre)」が完成。劇場、映画館、アート・ギャラリー、学校、図書館、温室植物園「バービカン・コンサバトリー(Barbican Conservatory)」などの公共施設と、レストランやショップなどの商業施設が次々にオープンすると、この住居の不動産価値をさらに押し上げました。

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