米FRB議長Jerome Powell氏は米国会上院に宛てた書簡で、「FRBが高速決済システムの構築を本格的に検討している」との旨を伝えた。FRBは米主要金融機関(民間企業)が提供している決済ネットワークより優れたものを開発する意向を示した。
Powell氏は7月26日、企業と消費者がより迅速に決済を行えるリアルタイムの決済システムを開発する可能性を示唆した。「FRBは1万以上の銀行(米国内外)と繋がっているため、システムを改善する責任は我々FRBにある。」と述べている。
Powell氏は本日の記者会見で、リアルタイム決済について、「公衆はFRBが独自のシステムを持つことを望んでいる」としており、このように具体的に話した。
「連銀は他国に比べて決済システムがかなり遅れている。数年に渡って、連銀と加盟銀行で一致したのは、365日・24時間・7日で作動するリアルタイム決済システムだ。よって、他の銀行と並行して金融業務を運営することはできる。」
「実際どのような技術を利用するかは決定していないが、近いうちに決定し、発表を行う。」
現在FRBが利用している決済サービスは「Automated Clearinghouse (ACH) payment」という非リアルタイムのシステムだ。通常、営業時間において1日3回のみの清算が行われ、米国特有の給料システムにもコスト面などで影響が出ているとの指摘が行われている。(多くの米企業従業員は、2週間おきに給料が振り込まれる。)
議長が新たな決済システムを検討する意志を表明したのは、今回が初めてではない。少なからず、2015年から当時の議長からすでにこのような改善計画を明かし、2020年をめどに実装を目論んだが、先月Powell氏は計画通りには実現できないと報告した。
またFRBのこの動きに対して、大手銀などでは、決済領域における競争状態になると見ており、リアルタイム決済の普及の妨げになり、「利益の減少と顧客の離脱」を懸念しているという。実際、大手銀らはすでに「Clearing House Payments Co.」に巨額な資金を投入しているため、FRBが検討する独自のシステムがライバルになりかねないことを案じている。しかし、追記内容にも記載したように、FRBは他の銀行との平行した金融業務の可能性を示唆した。
FRB独自のシステムを支持するのは多くの民主党議員であり、特にウォール街金融機関を問題視する2020年大統領選候補者Elizabeth Warren氏や、昨日の仮想通貨規制関連の公聴会で「有益な規制」を唱えたChris Van Hollen議員もその陣営にいる。
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