日本の和食と同時に、ユネスコの世界無形文化遺産に登録されたトルココーヒーですが、普段私たちが日本で飲むコーヒーとは豆の挽き方から淹れ方まで違っています。

まずコーヒー豆の粉の細かさが違います。

トルココーヒーで使用する粉は、豆を極細挽きにするため、粉というよりもパウダーといったほうが正しいかもしれません。

淹れ方ですが、パウダー状になっているため、ペーパーフィルターなどで濾すことはできません。

非常にさらさらとした細かい粒子を、専用のジェズベという容器に入れて水から煮立てます。

そして深さ5センチくらいの小さなデミタスカップにそっと注ぎ、粉がカップの底に沈むのを待ってから飲みます。

そんなトルココーヒーの用途は、実は飲むだけではありません。

飲んだ後はカップを逆さまにして数分待ち、カップについた粉の模様で占いをすることができるのも、トルココーヒーの楽しみ方の一つです。

また、トルコのハマムでもコーヒーを使います。

日本の銭湯のように、近所の人が気軽に訪れるハマムは、身を清めるほか交流の場所としての役割も果たしている、トルコの伝統的な公衆浴場で、旅行者にも人気があります。

ローカルなハマムでは観光客はほとんど見かけず、地元の人たちが会話を楽しみながら入浴を楽しんでいるのですが、そこで登場するのがトルココーヒーのコーヒーパウダーです。

コーヒーパウダーと少量のお湯を合わせて手の平ででペースト状になるように溶いたら、そのまま顔に塗って優しく撫でながら広げていきます。

トルココーヒー豆の細かい粒子を利用して、スクラブ洗顔料のように利用するのです。

また、コーヒーパウダーを多めに持参し、同じくお湯でペースト状にしたあと、全身に塗って体をきれいにしている人もいます。

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