トルコ西端の街、エディルネ。この街には世界遺産に登録されているイスラム寺院「セリミエ・モスク」があります。

トルコ史上最高の建築家と評されるミマール・スィナンによる傑作で、エディルネ観光には欠かせない名所になっていることは言うまでもありません。

そんなセリミエ・モスク以外にも、エディルネには実はまだまだ知られざる名所があります。

エディルネの広大な大地を存分に利用し、セリミエ・モスクよりもさらに昔に建設された「バヤジット2世の複合施設」は、エディルネを訪れたら必ず立ち寄っておきたいスポットのひとつです。

「バヤジット2世の複合施設」は、その名の通り、オスマン帝国第8代皇帝のバヤジット2世の命により、ミマール・ハイレッディンの設計に基づき建設されました。

バヤジット2世は、コンスタンティノープルを陥落させ東ローマ帝国を滅ぼしたメフメト2世の子に当たります。のちに「征服者」と呼ばれた父に対し、バヤジット2世は「聖者」と呼ばれるほどの熱心なムスリムで、彼の時代は帝国の拡大よりもイスラム色が強く出た保守的な時代でした。

コンスタンティノープルはすでに父の代で陥落していたため、オスマン帝国の首都はすでにイスタンブールに遷っていました。バヤジット2世のモスクはイスタンブールに現存していますが、彼は古都エディルネにも、さらに大規模な複合施設を造らせたのです。

トゥンジャ川が静かに流れる平坦な大地に堂々と構えるように建つ複合施設は、どこまでも連続するドームのシルエットが美しく、まるで宮殿のような姿をしています。敷地内にはモスクのほかに医学学校、神学校、救貧院、ハマム(浴場)などが含まれており、その中の医学校が改装されて、現在は医学博物館として利用されています。

オスマン帝国時代の医学を人形を使ってリアルに再現していたり、実際に使われていた医療器具などの展示がありトルコ語がわからなくても十分に楽しめるようになっています。

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