また、相場が急変した際に価格が急騰する米VIX指数との相関も確認したところ、2017年の相関係数は「−0.36」、2018年は「−0.38」、2019年は「−0.03」という結果である。米VIX指数は別名「恐怖指数」ともいわれており、地政学リスクが高まった際に価格が急騰する指数のため、市場では「株売り、VIX買い」のトレードが頻繁に発生する。ただ、年間ベースでの検証の結果、ビットコインとの相関関係はほぼ無いという結論となった。
上記の検証の結果、年ベースでは株式指数との相関は何かしら「有る」が、翌年は逆の相関への変化がみられることから、過去の相関係数をベースに年単位の投資を行うことは極めて難しい。1月8日の朝方に見られたような短期的な動きを狙うことはできても、あくまで「初動」を捉えるのみで、ポジションをそのまま長期的に保有していくことはリスクと考えた方が良さそうだ。ちなみに、為替市場での人民元とビットコインの動向も検証してみたが、人民元は中国当局によってある程度管理されていることから、こちらも目立った方向性は見られなかった。
このような特性を持つビットコインをポートフォリオに入れておく投資法をお伝えしたい。株や債券、コモディティはそれぞれ何かしらの相関があり様々なポートフォリオに入っているが、明確な相関が見当たらないビットコインのポジションを持つという戦略である。価格予想が難しい反面、2017年のような年始の10万円から年末に200万円台をつけた高いボラティリティによるリターンを享受することができよう。つまり「持たざるリスク」の回避である。国内株への投資で「100倍」を目指すのは非常に難しいが、ビットコインならその可能性に期待することはまだまだできる。
この投資法は「1%投資」と呼ばれる。ビットコイン投資に積極的な米国人投資家ビル・ミラー氏が実践していたことで注目を集めた資金管理法である。ミラー氏は、1991年から15年間連続でS&P500指数を上回るパフォーマンスを記録した伝説の株式投資家として著名な人物である。2014年からは純資産の1%をビットコインで所有していると明言している。投資家それぞれ資金量は異なるが、資産の1%の投資であれば、仮に投資したビットコインが無価値になっても、それほど大きな痛手にはならない。
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