観光大国イタリアのハイライトであるのが、誰もが認める首都ローマ。町の各地にはコロッセオやフォロ・ロマーノをはじめとする古代ローマ時代の遺跡、中世に建設された教会などが点在し、町全体がひとつの歴史博物館のようでもあります。

そんなローマで人気を集めるスポットのひとつが、ナヴォーナ広場にもほど近いマルス広場に立つパンテオンです。パンテオンの歴史が始まるのは、今から遡ること2000年以上前の紀元前25年。火災で焼失後は118年から128年にかけてローマ皇帝ハドリアヌスが再建し、それ以来ずっとこの地で町の歴史を見守ってきました。

早速中に入ってみましょう。内部は外観から想像できないほど広々としているほか、つい最近建てられたかのように全く朽ち果てていないのには驚きです。現在残る古代ローマ遺跡の中でも、パンテオンは最も保存状態が良いとされる建造物のひとつなのだそう。

円形上のホールになっているパンテオンの中では、壁や床に美しい装飾がなされ、天井はドーム型になっています。直線や曲線をうまく使い分けた模様が優美さを演出し、見ていてため息が出るほど美しいです。

380年にキリスト教が国教となるまでは、多神教の国だったローマ。神殿として建設されたパンテオンには、市民がそれぞれ信じる神への祈りを捧げるために訪れていたと言います。

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