ボスポラス海峡が大陸をヨーロッパとアジアに二分するトルコ最大の都市、イスタンブール。世界遺産に登録されている「イスタンブール歴史地区」をはじめ、トルコ人たちの温かさや美味しい食べ物、西洋と東洋が交わるこの街ならではの異国情緒たっぷりの雰囲気は、世界中の多くの人々を魅了しています。
多くの旅行者は観光の中心地であるヨーロッパ側で散策を楽しみますが、実はアジア側にもイスタンブールの魅力は隠されているのです。
イスタンブールのアジア側を代表する街のひとつにユスキュダルがあります。ユスキュダルはボスポラス海峡に面しており、市場やモスク、住宅街などがあり、ヨーロッパ側のようにこれといって目立つ観光スポットがないため、飾らない庶民の暮らしを垣間見ることができるエリアなのです。
そんなユスキュダルの海峡沿いを散策すると、突如ボスポラス海峡にポツンと浮かぶ不思議な塔に出くわします。それが「乙女の塔」です。
波打つ海峡に浮かぶ塔は、ボスポラス海峡を行き来する船からも見ることができますが、ユスキュダルの海峡沿いから眺める景観は格別。この街のシンボルマークともいえる存在です。
ところで、なぜこの塔は「乙女」と呼ばれているのでしょうか。この塔にまつわる言い伝えを二つご紹介しましょう。
一つ目は、ある皇帝と娘にまつわる悲しい言い伝えです。
ある皇帝の娘は、「18歳の誕生日に蛇にかまれて殺される」と占い師に予言されました。娘を大変愛していた皇帝は、蛇が侵入できない海の上にあるこの塔に娘を住まわせました。唯一この塔に訪れることができるのは皇帝のみでした。
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