【2023年3月20日 モガディシュ(ソマリア)発】

ユニセフ(国連児童基金)、ソマリア連邦保健・福祉省、および世界保健機関(WHO)が本日発表した新しい報告書によると、2022年の干ばつ深刻化によるソマリアの超過死亡数は、2017年および2018年の干ばつ危機と比較して、推定4万3,000人であった可能性があります。また超過死亡の半数は、5歳未満の子どもであったと考えられます。

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本日、ユニセフ・ソマリア事務所のワファア・サイード代表らの立会いの下、ソマリアの保健大臣が同報告書の調査結果を発表しました。

同本調査では、干ばつによる死者を回避するための予防的行動を可能にする、シナリオを基にした予測モデルが初めて用いられました。これによると、干ばつ危機による2023年1月から6月までの死亡者数は一日あたり135人で、総数で1万8,100人から3万4,200人の間の数になると予測されています。この試算は、今のところ飢きんは回避されているものの干ばつ危機の終息にはほど遠く、すでに2017年から2018年の状況よりも深刻になっていることを示しています。

これらの数値は、2022年1月から12月にかけて、ソマリア全土で粗死亡率が1万「観察人日(person-days)」あたり0.33人から0.38人に増加する(そのうち5歳未満児の死亡率はほぼ2倍)と推定した統計モデルから導き出したものです。2023年については、2023年6月までに粗死亡率が1万観察人日あたり0.42人に達すると予測されています。

ユニセフ地域事務所などの依頼を受け、ロンドン大学衛生熱帯医学大学院とインペリアル・カレッジ・ロンドンが実施したこの調査は、2022年1月から12月までのソマリア全域の死亡率の遡及的推定値を示しており、今後発表される一連の調査における最初のものです。この調査によると最も死亡率が高かったのは、ソマリア中南部、特に現在の干ばつの中心であるベイ、バコール、バナディール地域周辺と推定されました。

ユニセフ・ソマリア事務所のサイード代表は、「今回の結果は、干ばつによって子どもたちとその家族が受けた被害の深刻さを物語っています。私たちは、このような死者数を目の当たりにして悲嘆に暮れています。しかし、人道支援を拡充せず、被災したコミュニティに支援が届いていなかったならば、もっと多くの死者が出ていた可能性があるのです。栄養不良の予防と治療、安全できれいな水の提供、保健サービスへのアクセスの改善、はしかなどの致命的な疾病に対する子どもたちへの予防接種、そして不可欠な保護サービスの提供によって命を守り続けなければなりません」と述べています。

ソマリアは、近年では最長の、過去5回連続で雨期に雨が不足しており、500万人が急性食料不安に直面し、200万人近くの子どもが栄養不良に陥る危険にさらされています。国連は、760万人の優先ニーズを満たすために2023年に26億米ドル以上を必要としています。

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■ 注記
ソマリアにおける現在の干ばつ危機は、すでに厳しい背景の下で進行しています。人口の約半数(790万人)が人道支援を必要としている中、気候変動による異常気象、政情不安、民族間の緊張、治安の悪化により、公衆衛生や栄養面での懸念が深刻化しています。何期も連続して雨期に雨がないことで干ばつが起こり、世界的な食料価格の急騰、一部地域での治安悪化、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の社会経済的余波が追い打ちをかけています。これまでの複合的な危機と同様に、大量の国内避難民(IDP)が出ており、人道支援団体によれば350万人もいるとの報告も上がっています。報告書の要約は、以下でご覧いただけます。

https://www.unicef.org/esa/documents/insight-action-examining-mortality-somalia