フジテレビと親会社フジ・メディア・ホールディングスは、引退した元タレント・中居正広氏の女性トラブルに端を発した一連の報道を受け31日、第三者委員会の調査報告書を公表した。
中居氏による当時フジテレビのアナウンサーだった女性Aさんへの性暴力を認定し、その後の同局の対応を「被害者救済の意識が乏しかった」と厳しく指摘する一方、同局幹部による重要な社内ハラスメントとして、同局解説委員でありBSフジの報道番組のキャスターで3月27日にフジテレビの取締役を退任した反町理氏によるハラスメントの事案も認定した。
第三者委員会の調査報告書によると、2006年頃に反町氏から女性社員に食事の誘いが何度かあり一対一で食事に行ったところ、休日にドライブに誘われ、1日拘束されたことがあったとしている。
その後、この女性社員が反町氏からの食事などの誘いを断るようになったところ、反町氏が女性に業務上必要となるメモを共有しなかったり、不当な叱責を部内の一斉メールで送信したり、電話で怒鳴られたりしたという。
反町氏のハラスメントはそれだけにとどまらず、続いて2007年から2008年頃、別の女性社員を一対一での食事に誘うなどし、あるときからは休日に「今何しているのか写メを送れ」という趣旨のメールをして食事に誘うようになったという。そうした誘いを女性社員が断わったところ、この女性に対しても不当な叱責を部内一斉メールで送信したり、電話で論旨が不明な叱責をしたりしたという。
当の反町氏は食事に行ったことなどは認めているものの、叱責した事実については否認しているというが、第三者委員会では反町氏の一連の行為は、セクハラやパワハラに該当しうると断言している。
さらにその後、反町氏のパワハラ疑惑が週刊誌で報じられたことを受けたフジテレビ側の対応について、第三者委員会は「女性社員の心情を無視して対外的に事実関係を否定する声明を出すことによってハラスメント行為自体を隠ぺいすることで解決を図ろうとする組織的な体質の現れであるといえる」と指摘した。
また、第三者委員会はフジテレビの体質として「反町氏は、ハラスメント行為を行った当時や週刊誌の報道後も懲戒処分を受けることなく、現在も報道番組のキャスターとして出演し、その後も一貫して昇進を続け、2021年にはフジテレビの取締役に就任している」として問題視している。
こうした事態を受け、反町氏は同日放送のBSフジ『プライムニュース』を欠席した。反町氏本人から、出演見合わせの申し出があったことも報告された。