勤務先で年末調整をしているから、会社員は確定申告をしなくてもいい。こんな勘違いをしている人は、少なくない。
会計バンクが副業者に対して行った調査によれば、4人に1人が確定申告の必要性を認識していなかったほか、「金額含め知らなかった」16.8%、「必要性について考えたことがなかった」10.7%、「具体的な金額は知らなかったが収入額に応じて必要なことは知っていた」と約3割の回答者が「20万円を超えると確定申告が必要」であることを「知らなかった」と回答している。
そもそも、会社員には「確定申告をすべきケース」と「確定申告をしたほうがいいケース」がある。
「確定申告をすべきケース」の代表例は、一定金額以上の副業の収入や雑所得があった場合。
「確定申告をしたほうがいいケース」は、税金を払い過ぎていた場合だ。ふるさと納税の件数や、医療費の額によっては、このケースに該当する。
いずれのケースも、確定申告の手続きの仕方を知らない、手続きが面倒など、その背景にはさまざまな事情があると推測される。
このような背景から、ふるさと納税をした人の中には、確定申告をせずに寄付金控除を放棄している人が少なくないという。トラストバンクが行った「ふるさと納税の確定申告に関する実態・意識調査」によれば、回答者の4分の1が「ふるさと納税をしたが、寄付金控除を受けたことがない」と回答している。
確定申告には「情報の壁」と「手続きの壁」の2つの壁が立ちはだかっているようだ。
この2つの壁の負担を軽減すべく、確定申告をスマホで簡単に完結できるアプリも登場している。
2025年11月、法人向けの福利厚生サービスを展開する株式会社ベネフィット・ワンが、確定申告サポートアプリ『ベネステ確定告 Powered by FinFin』の提供を開始した。スマートフォンのアプリで、適した確定申告を選別し、手続きまで完結させることが可能となる。医療費控除やセルフメディケーション税制の適用に際し、領収書やレシートを撮影するだけデータ処理を任せられる「まるなげ控除」のオプションもある。
確定申告アプリ『FinFin』の開発・提供を行う会計バンクとベネフィット・ワンが業務提携したことで、幅広いユーザーを想定したアプリの提供が実現したという。
2025年度の確定申告は、2026年2月中旬からスタートする。給与所得者による医療費控除等の還付申告については、年明けから受付可能な場合もあるので、便利なツールを使って、いち早く手続きを終わらせたい。