高級ブランド・アルマーニがデザインした制服を導入することで物議を呼んだ、東京・銀座の中央区立泰明小学校で6日、入学式が行われた。新入生56人のうち、欠席した1名をのぞく55人がアルマーニの新制服で登校した。

午前10時から始まった入学式は報道陣に非公開で行われ、和田利次校長は式の終了後、「入学式を迎えることができて、ほっとしている。学校に来るのが楽しみだと感じてもらえるよう、教育の充実にいそしむ」とするコメントを発表した。

どうにか無事に入学式を迎えた泰明小学校だが、このアルマーニ制服の導入を決めた和田校長については、父兄とのトラブルが明らかになっている。事の発端は週刊現代(講談社)18年3月3日号による告発記事だった。

同記事には学区内に住み、親の代から泰明小学校に通っていたという父親が登場。4年前に息子を同小学校に通わせたものの、3年前に和田校長とトラブルになったというのだ。

生徒は元々ADHD(多動性、不注意、衝動性などの症状を特徴とする神経発達症のひとつ)をかかえ、学校での集団行動が苦手だったという。上級生からイジメにあい、トイレに立て籠るといった事件を起こしていた。それでも和田校長は江東区での校長時代、イジメ問題に取り組んだ実績があったことから、父は学校を信頼して、辛抱強く息子を通わせていた。ところが、ある日、和田校長自ら家に電話があり、「入学式には参加しないでほしい」と告げられたというのだ。

理由は「他の子に危害が及ぶかもしれないから」だと、校長は説明。だが、イジメを受けて、むしろ危害を被っていたのは息子方ではないか。身勝手な学校側の言い分に父親が反論すると、なんと和田校長は「泰明小学校にこんな子が来るなんて前代未聞です。こちらも妥協してきたので、今回はそちらが妥協してください」と言い放ち、電話をガチャ切り。親子はすぐ転校届けを出し、他校に移ったという。

この和田校長の行動が報じられるやSNS上でも議論が紛糾した。「ADHDの生徒は入学式に出るなとか、何様のつもりだ」「この校長のいう”泰明らしさ”なんて、ブランドで着飾るだけで中身はない」「どこまでも体裁にこだわる校長」などと批判が乱れ飛んだ。

その一方で「校長はカン違いだけど、入学式や卒業式は1年生や6年生のモノだから迷惑はかけない方がいいかも」「通学して苦労するのはお子さん。子供にあった学校を選ぶのは保護者の務めだよ」など、校長・保護者双方のADHDへの無配慮を疑問視する声もあった。

たしかに発達障害がある生徒は学校でからかわれたり、イジメられたりしやすい。それゆえ該当の児童だけでなく、その周囲に対してもきめ細かい支援体制が必要となる。しかし、その努力を放棄して、端から「出席するな」と排除するのは教育者としていかがなものか。

それは賛否ありながらアルマーニ制服を導入した校長の持論「泰明小学校は特別な存在」であるとしても例外ではないはずだ。和田校長は「泰明らしさ」を考える前に、教育者のあるべき姿に立ち返るべきではないだろうか。