そもそもなぜこんな裁判になったのかという経緯がまた微妙な問題を孕んでいます。

さすがに浴室脱衣所に盗撮カメラが置かれて泣き寝入るのも問題だということで、Aさんが地元の弁護士に依頼してピクシブ社やディアステージ社、ピクシブ社の親会社にあたるアニメイト社に対して損害賠償請求の内容証明の送付を行ったことが端緒にあります。いったんは、永田氏とディアステージ社が「事実関係の真偽はさておき」謝罪と賠償を行うことで示談が双方代理人を通してまとまりかけていました。

ところが、和解寸前から一転、永田氏はAさんとAさんが起用した弁護士2名に対して名誉棄損裁判を起こします。一瞬「は? 逆じゃね?」と思いますが、今回5月7日の口頭弁論は間違いなく原告が永田氏、被告がAさんと弁護士2名です。その内容とは、この問題を解決するためにAさんが送った内容証明がアニメイト社やピクシブ社監査役宛になっていたため、この件で永田氏が関係者から強い叱責を受けたので名誉棄損だ、と訴えたというのが今回の経緯です。

永田氏が他の「虹コン」女性メンバーほかにも盗撮を過去に仕込んだ経緯があったのかもしれませんが、Aさんとは無関係に永田氏の自宅や永田氏提供の「アイドル寮」での盗撮話が所属タレントだけでなく多くの関係メディアの知るところとなりました。示談のまとまる前から実際に動き始めた週刊誌記者が永田氏サイドに取材依頼をかけたことで、Aさんからメディアに情報が漏れたのではないかと永田氏が疑ったようです。詳細は永田氏やピクシブ社が取材を拒否しているため分かりませんが、少なくとも今回の口頭弁論でも被告となったAさん代理人から「メディアからの接触がこの名誉棄損裁判の引き金になったのか」と質問が出ておりましたが、永田氏代理人は次回期日に回すということで明言を避けていました。

当然、Aさんは進めていた示談も成立しなかったわけですので、今度はセクハラ・パワハラに対する問題で、永田氏だけでなく、ピクシブプロダクション社や、事実上活動の看板を担ったピクシブ社、また今回のライブを実施したディアステージ社と被告を拡大し、裁判を起こすことになったという経緯であります。この応訴・別訴によって無事訴訟合戦となりました。

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