■法の盲点を悪用する危険デモ? 辺野古ではドローンによる飛行妨害も
では、なぜ危険な威嚇行為のデモが看過され続けているのか。実際のところ、取り締まる法の整備が追いついていないのが現状である。レーザー照射こそ、15年12月に普天間飛行場上空のMV22オスプレイなどへの夜間照射で50代の男が逮捕されているが、タコや風船については「航空法の対象外」であり、残念ながら取り締まれないのだ。冒頭の琉球新報の記事もそうだが、反対派はこの抜け穴を恣意的に利用して「市民の抗議である」と胡座をかいてきたフシがある。
反基地派の過激な風船デモがメディアで話題になったのは、05年に沖縄国際大学で行われたヘリコプター墜落に抗議するアドバルーンだった。普天間基地近くの同大学の屋上に風船を設置し、英語で飛行禁止地域を示す「ノーフライゾーン」と書いた垂れ幕を掲げた。この時、主催者の一人であった同大・井端正幸法学部教授はハッキリと「アドバルーンの高さ地上からおよそ60メートルに達しますが、普天間基地やアメリカ軍機には航空法が適用されていないことから大学側では法的に問題はないと判断しています」と述べている。
一方で、保守サイドも手をこまねいていた訳ではない。12年の国会で、当時野党だった自民党・佐藤正久議員(57)が同件を取り上げ、民主党政権が「米軍機の航行の安全が脅かされたり、米軍への脅迫や攻撃があったりした場合、 沖縄県警とその他の日本政府当局が必要な措置を講じることを期待する」答弁している。だが、同政権で国土交通省令を変更して風船・凧の規制されることはなかった。
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/181/touh/t181006.htm
New's Vision編集部で沖縄防衛局に取材をしたところ、「普天間上空における米軍機飛行ルートでの妨害の報告は、30年度では1件のみに留まっています。タコ揚げによる近隣からの通報です」(報道室・勝連氏)とのこと。社会的な批判も多かった為か、ここ最近はタコや風船による抗議は減少したようではある。
それでも法の盲点を狙った迷惑行為は手を変え品を変え、近年はドローンによる活動も報告されている。昨年11月には無人機(ドローン)がキャンプシュワブ上空の米軍ヘリの進路に入り、急ターンを余儀なくされたと、ハリス米太平洋軍司令官が小野寺五典防衛相に規制を訴えている。では、根本的な解決策はないのか。まつさと法律事務所・金沢幸彦弁護士は対処する方法がない訳でもないと話す。
「米軍機へのレーザー照射に限らず、タコ・風船飛ばしを行うことも『威力業務妨害罪』に該当する行為です。さらに、人間の鎖など基地工事の車の下に寝転ぶ行為も同様です。こうした違法行為を行う人たちは、これらは反対意思を言説だけでなく行動で示すという『象徴的表現』であると考えているのかもしれません。しかし、表現活動の名のもとに、他人の業務を遅延させたり危殆に晒すことが簡単に許されてはなりません」
ともあれ、米国側からの対処が寛容なのは同盟国であり、複雑な背景を持つ沖縄に配慮してのことである。27年間の統治を経て沖縄が真の意味に日本と一体とならば、時に厳しく、平等に法治国家としての襟を正さねばならないのではないだろうか。
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