当時の首都は内陸のイムディーナにありましたが、騎士団は、オスマン帝国との戦いに備えて、海沿いのヴィットリーオーザを本拠地とすることに決定。天然の要塞ともいえる複雑な地形を利用し、高い防衛力をもつ堅固な城塞都市を造り上げたのです。

そんなヴィットリオーザのシンボルが、港の先端に位置する聖アンジェロ砦。

かつては「海の城」と呼ばれ、アラゴンの領主の居城として使われていましたが、騎士団がやってきてからは騎士団長の住居となり、砦が建設されました。

聖ヨハネ騎士団がマルタを去った後、1800年から180年間にわたって、イギリスの海軍基地として使用されていたこともあります。

大規模な修復作業を経て、2006年に観光スポットとしてオープン。ヨットが停泊する華やかなマリーナや、対岸のセングレアをはじめ、地中海と周辺の町並みを一望できる絶景スポットとして人気を集めています。

なんと、現在も砦の上階は騎士団の管轄下にあり、団員が一人砦に住んでいるのだとか。

マルタにおける戦争の歴史に興味があるなら、「マルタ戦時博物館(Malta at War Museum)」も必見。

ここでは、第2次世界大戦下のマルタの情勢を軍備や市民生活といったさまざまな観点から紹介しているだけでなく、地下に残る防空壕もあわせて見学することができます。

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