ゲートをくぐるとまず現れるのが、100年ほど前まで騎士団の水飲み場として使われていた「ネプチューンの中庭」。海神ネプチューンのブロンズ像が飾られていることから、この名がつきました。

宮殿内部の廊下は、色大理石が床を覆い、甲冑が並び、重厚感たっぷり。こんな光景を目の当たりにすると「本当に騎士団がここにいたんだ」と実感し、不思議な感慨に包まれます。

ヨーロッパの主要な王侯貴族の宮殿に比べると控えめながら、鮮やかな赤が印象的な「大使の間」、大包囲戦の様子が描かれた「最高審議」の間など、豪華な部屋の数々に魅了されることでしょう。

騎士団長の宮殿の入場料には、併設の兵器庫の見学も含まれています。

18世紀の騎士団長の馬車や、騎士たちが使用していた甲冑や大砲、槍など、ヨーロッパ各地から集められた武器が所狭しと並んでいる光景は圧巻です。

・聖エルモ砦

騎士団によるマルタ防衛の重要な拠点となったのが、ヴァレッタの先端に位置する聖エルモ砦。1552年、迫り来るであろうオスマン帝国を迎え撃つために、2つの港と4つの角をもつ、本格的な砦の建設が始まりました。

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