有名な1565年のマルタ大包囲戦では、オスマン帝国の苛烈な攻撃により砦は陥落。多くの死傷者を出しましたが、最終的には騎士団が勝利し、オスマン帝国の侵略から島を守ることができたのです。
現在、聖エルモ砦の名物となっているのが、日曜日(不定期)に開催される軍事演習のパレード「イン・ガーディア」。
16~17世紀に騎士団が要塞と駐屯地で行っていた軍事演習の模様を再現したショーで、隊列を組んでの行進のみならず、剣舞、大砲や鉄砲の実演も行われます。
当時の雰囲気が感じられる迫力満点のイン・ガーディア。ヴァレッタ滞在期間中、日程が合えばぜひ観に行ってみてはいかがでしょうか。(一部日程は、騎士団長の宮殿前で開催されます)
・騎士団施療院
聖エルモ砦の向かいに建つ大きな建物が、16世紀に騎士団の病院として設立された騎士団療養院。建物の外観は、今も当時のまま残されています。
船から負傷した兵士や病人などをいち早く運ぶため、砦のすぐ近く、グランドハーバーに面した場所に設けられました。
そもそも、聖ヨハネ騎士団の起源は、11世紀にエルサレムに創設された、病院を兼ねた巡礼者宿泊所にはじまります。そのため、この施療院は、聖ヨハネ騎士団設立の背景と深いかかわりがあるのです。
騎士団施療院は、当時はヨーロッパ全体にその存在を知られていたといい、騎士たちはもちろんのこと、騎士団長も医師や薬剤師の助手としての役割を務めていました。
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