曲線づかいが印象的な繊細なデザインは、1925年のパリ万博で花開いたアール・デコの流れへとつながるものとして評価されました。かつてガラスだった部分は、現在はポリカーボネートに葺き替えられています。

1998年には、高速列車が折り返し運転をせずに済むよう、通過式の駅にするための大規模な改良工事が始まり、2007年からは地下にも列車が通るように。

伝統を感じさせる重厚感のある20世紀初頭の部分と、機能的で近代的な21世紀の部分が見事に融合し、新旧がそれぞれを引き立て合う形で生まれ変わりました。

現在のアントワープ中央駅は、近郊線や都市間鉄道、高速列車などが地上階と地下1階、地下2階に分かれたホームを列車が行き来するという珍しい構造。

地上階のホームに列車が左右にずらりと並ぶというのがヨーロッパの駅のよくある風景ですが、アントワープ中央駅では、左右のみならず上下にも列車が並んでいるのです。

近現代が融合した華麗なる駅舎で繰り広げられる光景は、なんだかドラマティック。

毎日多くの人々が、ここを起点や目的地、通過点としながら移動していく・・・そんな当たり前の日常風景が、特別なもののように思えてきます。

さらにアントワープ中央駅では、構内にある豪華なカフェも見逃せません。

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