いまや世界各地で食べられるフライドポテト。
「その発祥の地は?」といえば、ファーストフードのイメージが強いアメリカ、あるいは英語で「フレンチフライ」と呼ばれることからフランスという声が聞こえてきそうですが、フライドポテト発祥の地とされているのはベルギー。
なのになぜ「フレンチフライ」という名称が付いたのかというと、第一次世界大戦中にベルギーにやってきた米兵が、フライドポテトを目にしたとき、人々が話す言葉がフランス語だったため、フランスの食べ物だと勘違いしたのではないかといわれています。
現地では複数形で「フリッツ」と呼ばれるフライドポテトは、ベルギーの国民食。
料理の付け合わせとして出されることも多いですが、フリッツ単独で食べられることも多く、フランス語で「フリッタリー」と呼ばれるフリッツの専門店まであります。
ベルギーではどんな小さな町にもフリッツ専門店があるといっても過言ではなく、ベルギー全土に4500軒以上のフリッツ専門店があるといいます。ベルギー人には、それぞれ自分がひいきにするフリッタリーがあるのだとか。
ベルギーにおけるフリッツの歴史は、17世紀ごろにさかのぼります。南米アンデス原産のじゃがいもは、16世紀にヨーロッパに持ち込まれ、しだいに貧しい人々を中心に食用にされるようになりました。ベルギー・ワロン地方の貧民たちは、1680年ごろにはジャガイモを細長く刻んで揚げて食べていたといわれています。
日本では戦後のアメリカ文化の流入とともに普及した「フライドポテト」ですが、ベルギーではすでに数百年の歴史があるのです。
そんなベルギー伝統のフリッツ。私たち日本人が食べているフライドポテトとはいったい何が違うのでしょうか。
ベルギーのフリッツの製法の特徴は、なんとっても二度揚げされること。その結果、外はカリッと、中はフワッと仕上がり、日本の一般的なフライドポテトに比べると、じゃがいも本来の風味が存分に味わえます。
まずは「ビーンチュ」と呼ばれるフリッツに適した品種のじゃがいもを最もおいしく食べられるようにカットしたら、130~140度くらいの低温で6分揚げ、10分寝かせた後、170度の高温でさらに2分ほど揚げるのが一般的です。
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