■トランプに対抗する独中接近!? 中国政府の対応の裏に潜む「陰謀」

劉霞氏の亡命の支持の背景にいるのはアンゲラ・メルケル独首相(64)だと言われています。人権派として知られるドイツのメルケル首相が、国際的な「人権を守る首相」としてイメージ戦略を図り、政治的なお手本となるように手柄にしようとしたというのです。しかしながら、劉氏夫婦を「民主活動のカリスマ」として尊敬している中国の民主活動家の間では、この「亡命支持」の背景にある意図に気づき、「メルケル首相と習近平主席の闇の取り引き」という、批判的な見解がなされています。

検証するために、複数のニュースをじっくり読むと、事情がさらにわかりやすくなります。

7月11日、トランプ大統領が中国に「貿易戦争」を宣言しました。この貿易戦争は中国政府にとって、甚大な経済的ダメージとなり、アメリカの保護貿易主義と対抗する仲間を探した結果、「敵の敵は仲間」と裏をかいた挙げ句、ドイツに頼るという結果になりました。劉霞氏の釈放は、習近平主席によるメルケル首相との取り引きの「引き換え」になされたものだったのです。

メルケル首相はEU推進派であり、グローバリズム推しの政治家としても知られてます。7月10日のウォール・ストリート・ジャーナルの報道より、独中両国の首脳はグローバル的に自由貿易主義で共闘することを表明しました。その共同の敵はズバリ、アメリカのトランプ大統領の保護貿易主義です。メルケル氏は「ドイツは自由的な貿易主義を支持して、違法的な関税追加徴収に不安を感じます」、とトランプ大統領を、直接名指しこそしないものの、厳しく批判しています。中国政府はアメリカのハイテク技術を窃盗して、特許を無断使用したことに引け目を感じているのか、「貿易戦争の引き金」について言及しませんでした。

2017年、独中貿易の総額は1870億ユーロにのぼります。さらに第五回独中経済会議において、新たに22項目の経済提携を契約しました。その中にはハイテク技術に関する事項が多数含まれています。

中国の李克強首相は、ドイツのベルリンで「中国はドイツのハイテク技術と製品を歓迎する」と表明。それと引き換えに、ドイツの在中企業に優遇政策を下しました。これは一例ですが、在中企業の株をドイツ側に50~75%を所有することを可能にし、大きな利益をもたらすことができるようにしました。他方で、ドイツの技術を中国に流出させる懸念もありますが、メルケル首相はそのリスクを微塵も警戒していません。

ドイチェ・ヴェレより
https://www.dw.com/zh/中国与德国酸辣生意/a-44602921?maca=chi-twitter-china-6725-xml-mrss&zhongwen=simp

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