■笑顔の裏側、安倍首相への対応に中国内政と経済状況が反映されている

追記すると、安倍首相と面会する習近平主席の表情の「証拠」も嘘です。習近平主席は就任以来、人望が足りずに、「攘夷」というポピュリズム政策で、国内の政権を固める一方、初めてG20で安倍首相と面会する時に自分が設計した「反日キャラクター」を実行し、わざと安倍首相に難色をしました。実はその「難色」写真を中国に報道した日に、SNS上の反日支持者の間では喝采が起こっています。

しかしながら、2017年12月に日中首脳会談で習近平主席は初めて安倍首相に笑顔を示しました。この背景には2つの原因があります。まずは一帯一路の進行に日本をAIIBと一帯一路のメンバーとして勧誘することです。

二つ目の理由は、この時にすでに米中貿易戦争が始まっており、中国が日本と仲良くしようとして、アメリカを牽制することでした。当時、実際に中国は自動車関税を引き下げて日本に引き寄せ、アメリカを牽制する動きをしました。

つい最近、米中貿易戦争で中国の経済は重大なダメージを受けました。これは自身の政権の崩壊に繋がりかねない、と習近平主席は、日本に積極的に日中関係改善をアピールしました。目的はアメリカ牽制です。

つまり、池上氏の「習近平主席は政権を固める目的は日中友好のため」の発言は戯言に過ぎず、現実は「習近平は日本を仮想敵のイメージを強化して、反日路線で自分の政権を固める」といった、対極の状態にあるように思えるのです。

それ以外にも、池上彰氏はテレビで「A級戦犯合祀が明らかになって以来、昭和天皇は一度も靖国神社を参拝されないまま亡くなりました」と言いましたが、実際は1952年に、昭和天皇が靖国神社参拝をされた写真があります。また、「東日本大震災時にいち早く駆けつけたのは韓国でした」という発言も虚偽であり、実際に一番早いのは台湾です。

■事実誤認か、意識的な確信犯か、私が「池上彰に教えたい」中国の真実

池上氏はこれらの事実を知らないのか、それとも知っていながら蓋をしてるのか。これでは、「池上彰が教えたい」ではなく、私が「池上彰に教えたい」ところです。

ではなぜ、米中貿易戦争で中国経済と習近平政権が危機にあるこのタイミングで、「習近平は実は親日」とゴールデンタイムのテレビ番組でトンデモ理論が展開されたのか。中国政府は必死に日本にすり寄って日本の投資家を誘致して、中国の外貨獲得を企んでいる。私は「池上彰氏が、なにか習近平の反日像を払拭する使命を帯びていたのではないか」と”邪推”せずにいられません。

「わかりやすいニュース」という謳い文句でTVに出演したり、書店においても著書が平積みで並べられるほどの人気を誇る池上彰氏ですが、盲信する前に正しい情報であるかどうかをご自身で確かめることをお勧めします。今後も放送の倫理を保つという観点からも、日本国民をミスリードする出演者を指摘していきたいと思います。