北ドイツ、ニーダーザクセン州の都市ヒルデスハイム。中世都市として栄えたこの街には、世界遺産に登録されている教会がふたつあります。

それが、聖マリア大聖堂と今回ご紹介する聖ミヒャエリス教会(聖ミカエル教会)。

ヒルデスハイム中央駅から徒歩およそ15分、小高い丘の上に位置する聖ミヒャエリス教会は、ドイツ最古級のロマネスク建築。ドイツで最も美しい初期ロマネスク様式の教会といわれています。

その歴史は聖マリア大聖堂よりも古く、1010年にヒルデスハイム司教ベルンヴァルトによって礎石が置かれ、1022に献堂されました。

もともとはカトリックの教会として建てられましたが、宗教改革によりヒルデスハイムがプロテスタント化されたため、この教会もプロテスタントに改宗しています。

「聖ミヒャエリス教会」という名は、当時司教が傾倒していた大天使ミカエルにちなんだもの。(ドイツ語で「ミカエル」は「ミヒャエル」と発音)

いくつものの円塔や角塔をもつ複雑な姿は、どこか異次元の世界の建物のようで、一度見ると忘れられない印象を残します。

地元の人々はその姿を「天国の城」と呼んでいるとか。小高い場所に建っていることも手伝って、地上と天をつなぐ役割を果たしているかのように見える聖ミヒャエリス教会。

高層ビルなどなかった中世の時代、この教会の威容が人々を圧倒し、信仰心を掻き立てたであろうことは想像に難くありません。

ヒルデスハイムは、第二次世界大戦で大きな被害を受けました。

この聖ミヒャエリス教会も例外ではなく、爆撃で破壊されてしまいますが、1950年代に再建が完了。堂々たる姿を取り戻し、1985年には大聖堂とともに世界遺産に登録されました。

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