■言語と文化を奪う!? ウイグル人虐待の魔の手は児童にも

そして、中国共産党によるウィグル人への虐待は悪化の一途を辿り、いまやそのターゲットは子供にまで及んでいるのです。

2016年11月から約2年弱の期間、罪のないウィグル人たちを収容所に送り込んだ後、残されたウイグル人の子供は親戚などに預けて養育させていました。しかし、中国共産党新疆ウィグル自治区の党書記・陳全国氏は、2020年までに従来の「親戚預けによる養育制度」を廃止し、すべての子供を国営の孤児院に送り込む「集中養育制度」に変更すると発表しました。

中国の行政上、「孤児施設」で養育するのは「両親が死亡、あるいは行方不明の証明を提出できる条件」の児童に限ります。今回、中国共産党がさっそく”人治国家”の本領を発揮して行政を変更、機関メディアたちはウィグル人児童を「より幸せで健やかな育成」の美名のもと、「孤児と同様の児童福祉に優遇している」とヨイショ報道をしました。

ウィグル人の人権弾圧を児童に波及(中国語)

https://www.hrw.org/zh-hans/news/2018/10/16/323445

国際人権組織・ヒューマン・ライツ・ウォッチ( HRW) 2018年10月16日配信

政府の本来の目標は、現在、入所率24%の孤児院を100%まで活用、つまりウィグル人の子供を強制に孤児院に送り込むことです。

しかし、たとえ両親がいなくても、祖父母や親戚による養育は可能です。それでも中国政府は無理やり児童を孤児施設に送り込もうとしているのです。祖父母は孫と一生会えない可能性もあるにもかかわらず、祖父母側の声は一切有無を言わせない一方的な政策です。ある意味「児童収容所」となり、これはウィグルの子供にとっても人権を無視している苛酷な環境と言えるでしょう。

このような幼い子供まで巻き込む必要性とは果たして一体、何なのでしょうか。

彼らの真の目的は、お得意の「洗脳」を行う施設です。まだ白紙のような純真無垢な子供に「漢化」と「共産党崇敬」という二つの思想を刷り込むことなのです。

報道によると、孤児院ではイスラム教を禁止し、さらに子供に母国語(ウィグル語)をも使用を禁止。幼いうちから、※標準中国語(漢語)と漢族の文化を徹底的に勉強させます。これが「漢化」です。さらに祖父母や親戚との間に隔たりをつくり、子供からウィグル文化とイスラム教を強制的に奪い去るのです。 ※中国では「普通話」ともいう

実際のウィグル自治区での漢化教育をご覧ください。こちらはウィグル自治区の小学校がウィグルの子供に漢服を着せたり、孔子儒教を教える授業です。

さらに、こちらはウィグル人の園児が自己紹介する映像です。ウィグル人の男の子は標準中国語で「私は五歳、私は中国人です。私の祖国は中華人民共和国、首都は北京です。中国の国旗は五星紅旗、私は祖国を愛しています」と喋っています。これはすでに「漢化」洗脳された証拠です。

この投稿の中国人のリプライを翻訳すると、「映画『1984』や『すばらしい新世界』そっくりの風景。暴力に屈服し、生きるために独裁者への偽装的な忠誠を誓い、賛美を言わされている」「かわいそうな子」「児童への洗脳は自身の思考力を喪失させた」「中共は漢族にも同じことをしている」などという書き込みがされています。

現在、国連はウィグル自治区の人権問題を気付き、世界各国に亡命したウィグル人を中国に送還しないように呼びかけます。例えばドイツ政府とスイス政府は、難民のウィグル人を送還しないようにしています。

実例としては、10月9日にマレーシア政府が亡命中の十数名のウィグル人を、第3国のトルコに亡命させました。これについて、中国政府はマレーシア政府に猛烈に抗議しました。

中国の圧力を屈服せず、マレーシア当局はウィグル人を第三国へ亡命協力(中国語)

https://www.rfa.org/mandarin/yataibaodao/shaoshuminzu/nu2-10112018105538.html

私はずっとウィグル自治区の惨状を訴え続けてきました。仮に沖縄から米軍が撤退するなどして中国に侵略されたら、同じ目に遭う可能性があると懸念しています。しかしながら、日本外務省はウィグル自治区で起きている民族浄化について、一度も中国政府を批判したことさえありません。

現代版のナチス国家のような中国に、日本政府は対中経済援助や、経済提携事業などをいつまで続けるのでしょうか。タイムリミットはすぐそこまで迫っているのです。

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