坂の多い立体的な地形、通りの両側に建つハチミツ色のマルタストーンで造られた建物、「ガラリア」と呼ばれる色とりどりの木製の出窓・・・どこか北アフリカを思わせる独特の街並みは、ここがヨーロッパとアフリカのはざまであることを物語っているかのようです。

ヴァレッタの旧市街を代表する建物の多くは、聖ヨハネ騎士団の時代に建てられたもの。

その代表格が、街の中心に建つ聖ヨハネ大聖堂です。聖ヨハネ騎士団の守護聖人である洗礼者ヨハネに捧げられた聖堂で、1577年に騎士団の建築技師のジェローラモ・カサールの設計で建てられました。

外観こそシンプルな造りですが、その内部は言葉を失うほどに豪華。天井は洗礼者ヨハネの生涯や騎士団長などが描かれた絵画で彩られ、床はさまざまな銘や絵が表現された大理石のプレートで覆い尽くされています。

身廊の左右には、騎士団を構成していた言語別・出身地別の8つのグループそれぞれの礼拝堂があり、絵画や彫刻などで豪華さと美しさを競い合っています。

完成当初は簡素な内装だったものの、17世紀に現在見られるような華麗なるバロック様式に改装されました。この目もくらむばかりの豪華な空間を目の当たりにすれば、当時の騎士団がいかに財力と権力をもっていたかが肌で感じられるはずです。

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