中央の塔の高さは96メートルもあり、その全体像を写真に収めるのが困難なほど。塔の先端には、竜を打ち倒すブリュッセルの守護天使ミカエルの像が配置されています。

フランス軍の爆撃により市庁舎内部は火災に遭いましたが、塔だけは奇跡的に残り、当時の建築様式をそのまま今に伝えています。

市庁舎の向かいに建つ「王の家」も、グラン・プラスの主要建造物のひとつ。名前から王宮だったかのように思われがちですが、実際に王様が住んだことはありません。

かつてはパン市場として親しまれていた場所で、ブラバント公の行政庁になり、公がスペイン王になったことからその名が付きました。

スペイン・ハプスブルク家の支配時代には、スペイン政庁として利用され、新教徒を収監する牢獄にもなったとか。一見華やかなグラン・プラスには、暗黒の歴史も隠されているのです。

現在、王の家は市立博物館として使われており、館内ではピーテル・ブリューゲルの「結婚式の行列」や、昔のブリュッセルの模型、陶器、彫刻、タペストリーのほか、小便小僧の像やその衣装コレクションの一部を展示。コンパクトにブリュッセルの歴史がまとまっている、街歩きの前の必見スポットです。

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