近代化が進んでいくと古い建物は建て直されてしまう、そんなビルの解体や建て直しは世界中の大都市で毎日のように発生している出来事の1つ。

もちろん、ここオーストラリアにおいても、その時代の流れは起きており、田舎に古い家や建物は残っていても、シドニーなどの都会の真ん中ではガラス張りのモダンな高層ビルが多く立ち並んでいます。

そんな時代の流れを感じる大都市のビル群ですが、オーストラリアでは古いものを大切にするというスピリッツもあります。

今回はオーストラリア・シドニーの大都会の高層ビル群の中にありながら、1890年代の建物を利用したショッピング・アーケード「ストランド・アーケード(The Strand Arcade)」をご紹介しましょう。

ストランド・アーケードはビジネスの中心地ジョージ・ストリート(George Street)通りとピット・ストリート(Pitt Street)通りの間に位置しています。

このアーケードは2011年(平成23年)にニュー・サウス・ウェールズ州の遺産に登録されており、シドニーで最初のビクトリア様式の建物でもあります。

ビルの歴史は古く、1890年から1892年(明治23年から25年)にかけて建築され、1892年4月1日にオープンしました。ストランド・アーケードの長さは104メートルあり、3階建で、両端には杉材木で作られた美しい階段が配置されています。

伝統的なギャラリーそして杉製の階段と木製ドアのある重厚なエレベーター、そしてタイルで舗装されたフロアーに、鋳鉄(ちゅうてつ)製の手すりなど、建物内の全てがビクトリア朝(ビクトリア女王が統治した1837年から1901年)の雰囲気をたたえています。

さらに、屋根のガラスは着色されており、優しい光がアーケード全体を包み込むように設計されています。オーストラリアは非常に日差しが強いので、そのような設計がほどこされているのです。

1892年(明治25年)にこのアーケードがオープンした時には、最新のショッピングセンターと言われ、イギリスの植民地時代の当時は「オーストラリア植民地において素晴らしい公共通り」と呼ばれました。

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