• 通貨の価値上昇は通貨の元々の目的ではなく、二次的な恩恵に過ぎない
• デジタル資産は価値が上昇する可能性ではなく、その機能性を重視に販売されている

特筆すべきは5番目の「バーチャルカレンシーとして称されるデジタル資産」に関する項目で、実際に仮想通貨として機能する場合は価値を保存し、いつでも引き出して取引が可能となる「価値の保存」手段に当たるとした点だ。

ただしこの文書には全ての必須項目が書かれているわけでないと掲載されているため、トークン発行やICOを検討している企業はいずれにせよ米SECのFinHub部門に相談するべきだと推奨している。

米SEC、ICOプロジェクトを初めて「認める」
また米SECからもう一つの重要な動きは、同機関の企業金融部門が米国内でICOの発行を試みる企業TurnKey Jet社に現状、有価証券として取締を行わない旨を表す文書を発表した事だ。

この文書は米SECの公式見解ではなく、あくまで同社が提供した情報を基に下した判断で、状況次第ではこの暫定的な判断は変わる可能性があるとしているが、米SECがICOに取締を行わないと文書で示した初の事例として注目を集めている。

TurnKey Jet社(以下、TKJ社)は2012年に米フロリダ州で設立されたエアタクシー・チャーター便を提供する企業で、フライトの確保を効率化するために独自のトークンセールを行うことを計画していた。トークンは航空業界における不効率な部分を最適化するため、航空券と交換可能になる仕組みとなっている。

TKJ社は弁護士を通じて昨年5月から米SECに申請を図っており、ICOの有価証券性は無いことを説明する文書を提出してから実に11ヶ月の期間を経た後、同機関から返答が帰ってきた形だ。文書内で、米SECはTKJ社が以下の項目を遵守することを推奨した。

• トークン販売で得た資金は開発の為に利用しないこと
• トークンが即座に利用可能であること
• 1TKJトークン価格が1米ドルに固定されること
• トークンが航空券との交換にのみ利用されること
• 買い戻しはトークンの販売価格より低い価格で行われること
• TKJ社はトークン販売時に利益の可能性があるものとして広告しないこと

またこちらの文書における注目点はTKJの飛行機便キャリアー、仲介者となるブローカー、そして顧客の全てのユーザーによる「トークンのTKJプラットフォーム以外への転送」が認められない点だ。

なお上記の項目やSECがTKJ社に取締を行わないことは、TKJ社が弁護士を通じて提供した情報の信憑性とTKJ社がこれらの計画から反れないことが条件となっている。

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