繁華街の経済学：川崎の飲食店、キャバクラが活況のワケ「全国グループが目指す“街のイメージづくりへの貢献”」中編 (2)ページ

キャバクラの隆盛は、景気に敏感に反応するという。それほどまでに、実社会と夜の繁華街の経済は密接なのだ。ちなみにキャバクラ業界は競争が激しいため、店舗寿命は著しく短いといわれている。市場規模としてはかなり大きいと推測されるが、他産業と比較すると市場規模の大きさに対して、中小規模の事業体が多いという印象が強い。

川崎の地で、INSOU東日本が成功した理由を聞くと、「集客主義でもなく、拝金主義でもなく、お客様第一主義を目指していること。また、良いものを多くの人に広めるという意味で拡大を目的にしていることですね」と謙虚に答えた。

たしかに同グループの店舗に足を運んでみると、内装にしても、流れているBGMにしても、そして女性キャストの質も、驚くほど洗練されているのがわかる。

しかし、キャバクラという業態で、ユーザーが求めるのは最終的にはキャストの質の良さに尽きてしまう。良さというのは、何も容姿のことだけとは限らない。個々人に差異が出るのは当然だが、接客の質というのは教育研修の体制で全体の底上げをすることが可能なのだ。

企業規模が小さければ教育研修の体制を確立するとこは難しく、キャスト個々人が持つ資質に頼らざるを得ない。こうした全体の質の向上は企業体の大きさが生む強みであり、全国制覇したキャバクラグループのみが持つ強みであり、ライバル店舗と差別化が図れている点なのだろう。

川崎に出店した３店舗はいずれも活況だが、INSOU東日本は、完全なるビジネス街である新横浜エリアにも１店舗を出店して、連日満員御礼を続けている。「エルミネ新横浜」の店長は成功の要因を語る。

「横浜進出第１号店としてオープンする前から噂が噂を呼び、期待されていました。繁華街を活性化するため、大阪や六本木で培った経験を背負い横浜に新しい風を吹かせるために業界のパイオニアとして横浜、新横浜へ常に良いものを取り入れていく姿勢を貫き通していたからだと思います」

INSOUグループの目指す先は「街のイメージづくりへの貢献」だという。組織として目指す場所が明確であり、現場の人間にもしっかり共有されている。全国で躍進し、川崎でも成功した理由はここに集約されている。

以前より関東屈指の繁華街として有名だった川崎だが、前述のような住宅街・オフィス街としての魅力と、全国レベルのサービスカンパニーが進出することで、川崎という街が相乗効果を生み始めているようだ。

次号「後編」では実際にINSOUプロデュース店舗を訪れた際の様子をリポートしたい。