令和元年11月1日の1並びの日に、老舗の和菓子屋「又一庵 総本店」(静岡県磐田市見付1767-4)がリニューアルオープン。目玉商品であるきんつばを、今風スイーツへと新開発した“きんつばスイーツ”を堪能できる「マタイッコタベタイカフェ」が新設される。

創業148年「又一庵」は地元から愛される老舗和菓子店

「又一庵」は明治4年から東海道を見守ってきた歴史がある。2代目の時に「また一個食べたい」とお客さんが言った言葉から又一を名付けたとの由来がある。きんつばを始めたのは2代目の頃であり、当時、神戸高砂のきんつばをお土産にもらったのがきっかけで作りはじめたという。

まさにお客さんと共に歩んできた和菓子屋だ。20年前、磐田インターチェンジが開通した年に、そこへ通じる道へ東海道沿いにあった総本店を移した。当時は、開店日にお客様が長い行列を作ったという。

又一庵のきんつばは六面を手焼きするスタイル。工場生産も一度は試してみたそうだが、皮が固くなってしまうから辞めたという。きんつばといえば、硬い皮のイメージがあるが、又一庵のきんつばは薄くて柔らかい皮に、塩まじりのあんこが入った逸品である。

寛ぎ空間となっていきそうなカフェが新設

今回のリニューアルでも、やはり行列ができて、さっそく賑わっていた。地元の人たちの憩いの場として、長く愛されていくことになりそうだ。長いソファーに、動かしやすい机と椅子なので、それなりの団体でもゆったりと寛げる空間になりそうだ。

磐田インターチェンジに通じる道を眺めるガラス張りのカフェ空間。天気が良ければ、ぽかぽかと暖かい。さて、肝心のカフェのメニューは、どんなスイーツが揃っているのか。彩り豊かで若者向けでありつつ、しかし本来の和菓子としてのウリは活かす方針だという。

カフェでのみ楽しめる綺羅びやかな和スイーツが登場

目玉商品のひとつは、和パフェだ。抹茶あんこパフェ、マタイチアンパフェ、いちごあんこパフェの三種類がある。それぞれ800円。店としてのイチオシは、店名を冠したマタイチアンパフェである。

一番上にきんつばを乗せたマタイチアンパフェは、生クリームに食べごたえのある白玉やどら焼きの皮、そして、チョコクランチなどが層を成す。食べ進めれば、実にもっちりしたものから、カリッとしたものまで、食感だけでも飽きることがない仕立てである。

味わいも又、甘いだけではなく、和洋の甘さが織りなされ、最後にはライチゼリーが締めてくれる。フルコースのような美味しさがある。上から順番に層を味わっていくのもよし、途中で一気に崩して食べてもよし、いろんな味わいかたで楽しめるように作り上げたという開発者の自信作だ。

いわゆるインスタ映えなら、キンツバコも試してみてほしい。ワンプレート3000円。又一庵の和菓子をたっぷり盛り込んだ玉手箱である。量的には一人でも食べられるが、カップルでシェアするのもよいかもしれない。

和製サーターアンダギーのようなかりんとう饅頭や、季節を楽しめる栗羊羹に芋羊羹に、抹茶の葛煉りや蒸した手剥きの栗が乗せられる。クリームチーズとあんこの団子や、きなこを敷いた白玉に黒蜜をかけて食べる。

マスに入っているのは抹茶のティラミス。形が保てないほど柔らかなティラミスである。小さないちごのパフェに、ドライアイスでキンキンに冷やしたきんつば。甘いばかりではなく塩昆布も添えられている。まさにパーフェクション。

※価格は、取材当時のものとなります。

紹介したカフェメニュー以外にも、趣向の凝らされた和菓子スイーツが並ぶ。どれにしようか迷ってしまう。嬉しいため息が出そうだ。パンケーキも見栄えもよく美味しそう。こちらを選んでも正解かも。

店頭に並ぶ商品にもカラフルな和菓子が新発売

カフェだけでなく、従来通りの和菓子のほかに、リニューアルした商品が店頭に並ぶ。家に持ち帰って楽しめる和菓子も気になるものがたっぷりだ。

「アンビス」と銘打たれたランドグシャ。9枚入りで864円。生地にあんこを練り込み、きなこチョコを挟んだ仕立てである。あんこには又一庵のあんこらしさを出すため、沖縄の雪塩が入っていて、味わい深い。

「イロドリきんつば」は、自慢のきんつばの5種類のフレーバーが楽しめる。各130円。ミルク、ズンダ、カボチャ、コーヒー、そして、アズキだ。ミルクの甘さが和洋スイーツ感があって面白い味わい。ほかも一度は試してほしい。

4代目は語る「今までにない和菓子を作っていく」

「地元のお客様には引き続きご愛顧を願いながら、新たなる客層を狙う新ブランド『MATAICHI KINTSUBA』を立ち上げました。和と洋のテイストをマリアージュさせた今までにない和スイーツを開発していきます。

そしてカフェである『マタイッコタベタイカフェ』は、又一庵の又一の由来であるまた一個食べたい精神を目指すものです。今後も日本一を目指して邁進します」

4代目の鈴木康元氏は、今回のリニューアルで和菓子の新たなる可能性の手応えを感じたようだ。後継者である5代目も決まっており、令和はもちろん、又一庵は伝統と変化を繰り返して進化し続けていくのだろう。

又一庵 総本店

住所: 静岡県磐田市見付1767-4
電話: 0538-33-1600
時間: 9:00~19:00
休日: 無休
公式サイト:https://mataichian.com/
※掲載内容の情報や価格は、取材当時のものとなります。予めご了承ください。