日産自動車が初のSF小説「答え合わせは、未来で。」をKindleで期間限定発売する旨を発表した。2019年11月26日から2020年1月30日まで。全19話で1話につき88円で販売される。7名のSF作家らが自由な発想で「自動運転社会の未来」を、ショートストーリーで描く。

「答え合わせは、未来で。」自動車メーカーがSF小説を発表

月探査ロケットや冷凍食品、タブレット端末、ネットショッピング。今では当たり前の技術ですが、それらはかつてSF作家たちが作品で描き、的中させてきた。既存技術の延長線上ではなく、SF作家にワクワクする未来を描いてもらうことで、新たな自動運転社会実現のヒントが得られるかもしれないという期待を込めて依頼したとのこと。いずれフィクションがノンフィクションになり、未来で答え合わせができる日がくるかもしれない。

SF業界を牽引する作家らの作品19話を公開。売上は全額被災地支援へ。

作家それぞれの独自の世界観によって描かれたSFショートストーリー。全19話のうち、7話を特設サイトや日産公式SNSで試し読みできる予定だ。この取組で得た売上金は、東日本大震災の被災地に住む子どもや若者たちに『日産スマイルサポート基金』を通じて全額寄付予定とのこと。

作品を執筆したのはSF業界を牽引する人気作家とイラストレーター

自動運転社会の未来予想を描くのは、2017 年に『ゲームの王国』で第38 回日本SF 大賞を受賞したSF 作家の小川哲氏、多くのユーザーがSNS でオリジナルの物語を投稿し話題となった『54 字の物語』の発案者であり企画作家の氏田雄介氏など、人気作家7 名たち。日々、最先端の技術と向き合う技術者ではないからこそ、やわらかく自由な発想や視点で捉えたクルマの未来物語を描いている。

それぞれの作品の挿絵は、10名のイラストレーターが担当するのも見どころだ。瓜生太郎氏、Colliu氏、椎木彩子氏、正一氏、TAC氏、高橋潤氏、ナガノチサト氏、中村桃子氏、ヘルミッペ氏、三好愛氏。独自のタッチがまた、SF的世界観を拡大してくれることだろう。

「クルマをもっと安全で、快適で、ワクワクする乗り物にする」その思いで自動運転技術や電気自動車など最先端の技術開発に力を入れてきた日産。2016 年には、より広いシーンで統合的に支援する「プロパイロット」を、2019 年には、高速道路で同一車線内ハンズオフが可能なナビ連動ルート走行を実現した世界初のシステム「プロパイロット2.0」を実用化。

日産がこれまで取り組んできた技術への挑戦の歴史。その過去に縛られることなく、SF作家に自動運転の未来を託して誕生した小説。さらに未来を担う子どもたちに売上金を寄付するという、色んな意味で未来に繋がる、非常に興味深いプロジェクトだと思う。